十二体(8/12)

文字数 167文字

十二体の仏像を
彫り上げて
父は亡くなった

定年退職してから
毎年一体ずつ

趣味というよりも
修行に近く
巧くはないが
愛嬌のある仏像ばかりだ

独立した息子の部屋を
仏像の間にして
十二体を並べている

妻はいい顔をしなかったが
仏像に囲まれて座禅を組むと
自然と穏やかな顔になるのだ

十二体だと
しっくりとくる
更に多いと単なる物置だ

父は寿命を知っていたのかもしれない
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