第1話

文字数 1,383文字

【起】
少し天然で地味な女の子・小西桃(中2)は、まだ恋を知らない。
ある少女漫画が好きで、その中のヒーローに恋をしている。周りの友達にも、そんなことで大丈夫なのか?と心配されるが、桃本人はいたって通常運転。
ある日、桃は校内で、漫画のネームらしきものを拾ってしまう。
なんと、それは自分が今大好きな少女漫画だった!


【承】
しっかり描いてあるわけでもないのに、その漫画だと分かるあたりが、桃らしい。
その漫画を大好きだという証拠。その漫画家の名前は知ってるものの、もちろんペンネームだというのは分かっている。桃は「少女漫画」だから、描いているのは女子生徒と思っているが…!?そのネームを眺めていると、後ろからあるひとりの生徒に声をかけられた。
「それ、返してくれない?」
急に声をかけられて驚く桃だが、そんなことよりも、今手に持っているネームを返してほしいと言ってきた相手に驚いていた。
実は、この漫画家は女子生徒ではなく、ひとつ上の先輩・白川翔真(中3)だったのだ。
学年問わず人気者のイケメン。恋を知らない桃でも、翔真の存在は知っていた。


【転】
ある日。翔真がひとりでいるときに遭遇した桃は、思わず、「好きです!」と言ってしまう。
(もちろん、桃は「この漫画好きです!」という意味なのだが、感情が先に出てしまう)
翔真は桃のことは、「あの時にネームを拾ってくれた子」くらいしか知らないため、他の女子にとる態度と同じような反応を返す。
「俺はキミのこと知らないから、その気持ちにはこたえられない」
桃は、話がかみ合っていないことにようやく気づく。
「あっ、違うんです!この漫画!!この漫画が大好きなんです!」
翔真も、自分に告白してきたのだと勘違いしてしまったことに赤面。
翔真は思わず「キミは、この漫画を俺が描いてるって知ってなんとも思わないの?」と桃に尋ねる。だが、桃は「思いません!」と即答。翔真は、桃のことを面白い子だなぁと思い始め、その後も少しずつ話すようになる。でも、翔真は漫画家の活動はごく一部の友達しか知らないため、桃に内緒にしててもらうよう頼む。
「バレちゃうと、この漫画描けなくなっちゃうからね?」
なんて、言われたから、桃はもうお口にチャックするしかない!
大好きな漫画の作者が校内にいると知った桃は、学校に行くのが楽しくて仕方ない。
そんな桃と翔真は、漫画の話題で意気投合し二人の距離がどんどん近くなる。
そんな中、実は、桃と同じクラスにいる桃の幼なじみも、ずっと前から桃に想いを寄せていたのだ。漫画にしか興味がない桃のため、その幼なじみはなかなか自分を恋愛対象として見てもらえてないことも気づいていたが、最近は3年の先輩(翔真)の名前をたまに口にするため、焦り始めている。

【結】
その幼なじみから告白される桃。だが、桃の中ではもう翔真の存在が大きくなっていた。
幼なじみにはきちんと翔真への気持ちを話し(漫画家のことは言わない)、想いに応えられないことを伝える。幼なじみと一緒にいる光景を偶然見た翔真から桃は告白される。
「桃ちゃんのこと、だれかに取られるかと思ったら……いてもたってもいられなかった」「俺と付き合ってほしい。桃ちゃんのこと、いっぱい笑顔にできるのは俺しかいないと思うんだ」
漫画のような告白をされ、桃は断る選択肢などあるはずもなく、もちろんOKし、ふたりの秘密の恋が始まる。

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