(二)

文字数 287文字

 リビングでは、海外製の格安三二インチの液晶テレビが二一時になる直前の天気予報で今晩から雨が降ることを伝えていたようであった。しかし、事態が事態だけに野上はそのニュースを耳に入れる余裕が全くなかった。
 野上は車のキーを掴み、ジャンパーを羽織って鍵をそのポケットに入れた。テレビを消し、部屋の電気も消して玄関ドアを開けて外へ出た。

 野上の家は地方の一軒家で、隣近所に家はあったものの、その光は畑や空き地を挟んで数十メートル先にあった。だから今日のことで多少騒音があっても、時間的にも、近隣住民に目撃されたり怪しまれたり通報されたりする可能性はないはずだと野上は考えた。

(続く)
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