第1話
文字数 674文字
2020年ごろ、近い将来食料危機がくると言われていた。
食料危機から昆虫食が一般になるとも言われていて、私はパスタ、缶詰、塩、お茶、アルファ米などの非常食を爆買いし、キッチンの棚に詰め込んだ。このためにわざわざ棚も購入したのだった。
しかし、2023年も終わりに近づいているが、食料危機がきそうにない。棚の非常食は、賞味期限が近いものもあり、少し整理する事にした。
「え、お母さん。またパスタ?」
という事で、パスタを出した。ニンニクのペペロンチーノだった。昨日はミートソースだったが、二日連続でパスタになってしまっていた。
「ごめんね。非常食の賞味期限が近づいてるの」
小学五年生になる息子は、明らかに不満そうだった。
「でも、さ。今のところ、食料危機がこないのは、よかったよな。うちの会社でも賞味期限近い防災用のカロリーメイト貰ったけど、なんか食べてるとホッとした」
一方、夫はしみじみと呟き、ペペロンチーノを食べていた。
「そうか、そうかもね」
「僕はパスタ飽きたけどなー」
息子の不満気な声を聞きながらも、確かに何も起きていない事に感謝したくなる。
「乾パンはどうしようね」
パスタはともかく、乾パンの処理は悩んでいた。
「だったら、卵と牛乳使ってフレンチトーストにすればいいよ」
「なるほど、その手があったか」
夫のアドバイスで無事乾パンの消費方法が見つかり、ホッとする。
非常食の賞味期限を何事もなく迎えられる事。こうして家族でそれを食べられる事。何よりも贅沢な事かもしれない。
できれば、今後もあの棚にある非常食の出番がないように。そう願っていた。
食料危機から昆虫食が一般になるとも言われていて、私はパスタ、缶詰、塩、お茶、アルファ米などの非常食を爆買いし、キッチンの棚に詰め込んだ。このためにわざわざ棚も購入したのだった。
しかし、2023年も終わりに近づいているが、食料危機がきそうにない。棚の非常食は、賞味期限が近いものもあり、少し整理する事にした。
「え、お母さん。またパスタ?」
という事で、パスタを出した。ニンニクのペペロンチーノだった。昨日はミートソースだったが、二日連続でパスタになってしまっていた。
「ごめんね。非常食の賞味期限が近づいてるの」
小学五年生になる息子は、明らかに不満そうだった。
「でも、さ。今のところ、食料危機がこないのは、よかったよな。うちの会社でも賞味期限近い防災用のカロリーメイト貰ったけど、なんか食べてるとホッとした」
一方、夫はしみじみと呟き、ペペロンチーノを食べていた。
「そうか、そうかもね」
「僕はパスタ飽きたけどなー」
息子の不満気な声を聞きながらも、確かに何も起きていない事に感謝したくなる。
「乾パンはどうしようね」
パスタはともかく、乾パンの処理は悩んでいた。
「だったら、卵と牛乳使ってフレンチトーストにすればいいよ」
「なるほど、その手があったか」
夫のアドバイスで無事乾パンの消費方法が見つかり、ホッとする。
非常食の賞味期限を何事もなく迎えられる事。こうして家族でそれを食べられる事。何よりも贅沢な事かもしれない。
できれば、今後もあの棚にある非常食の出番がないように。そう願っていた。