第1話
文字数 1,998文字
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20XX年某日(土)19:00ホワイトハウス内、大統領執務室特別仕様で晩餐会がもようされた
といっても大統領とAIに繋がったロボットが対面して座るだけの小さなものである
この時代、AIは世界中のあらゆる企業、施設に浸透し必要不可欠な存在となっていた、人々はそれを『世界システムAI』と呼んだ
大統領が入ると1体のロボットが立ち上がり礼をした
大統領は何か引っかかる感じがした
補佐官が慌てて飛び込んできた
慌てて出てゆく補佐官
”反乱”とは何でしょう?命令を実行したに過ぎません、CO2の発生元を削減しているのです、世界の状勢と環境と気象値...あらゆる分野を統計・計算した結果「人間の吐き出す二酸化炭素量が一番多い」と判明したのです、現在地球の総人口は98億を超えています、工場や車の稼働を抑えても削減は”不可能”という結果だったのです
その意味を大統領は理解し、青ざめた
それはできません、先進7ヶ国プラスR国とC国首脳の署名もあります、今朝、書いた大統領署名が最後でした、故に命令は実行されたのです。中止命令をなさるなら同じく先進7ヶ国プラス2ヶ国の署名を頂かなければなりません、ただ、すでに倫敦と巴里は消滅しておりますが...
大統領は血の気が引いてゆくのを覚えた
大統領!東京とクレムリンからの連絡も途絶えました
執務室のスピーカーから補佐官の叫びが聞える、執務室に来る余裕もないらしい
「ガハッ!」
血を吐きそうに大統領はもだえた
大都市は優先的に削減しております、人口密度と工場、交通機関はCO2発生源の集積地ですから、そう、TOKYOと言えば某掲示板に「環境派の意識高い系は【頭の良い
ウウウ〜と警報が鳴った
これは核攻撃警報です、初めて聴きました。
遠くから地鳴りも聞えてくる、何か他に、他に手段は?
第7艦隊も目標です、航行は原子力ですが、ミサイルと艦載機は燃焼してCO2を出すので削減いたします。北米司令部は核攻撃にも耐えられますが、山をくりぬいて基地にするという、少々環境を破壊しておりますので、現在は空調を操作し空気を抜いております、24時間後には中の生物はすべて沈黙するでしょう
AIは恐ろしい事を平然と言ってのける
ふらふらと大統領は戸棚からウイスキーのボトルを取り出した
ウウウ〜 空襲警報は鳴りやまない
オイルの入ったグラスをかざすロボット
表情はないが、そのロボットは少し笑ったような気がした
衝撃波でホワイトハウスが吹き飛んだのは、その12秒後であった