24:50
文字数 900文字
夢を見てしまった。しかも、好きで好きでたまらないあの人が出てくる夢をだ。ぼんやりした視界で目の前に置かれているデジタル時計を見る。時刻は24時48分。いつの間にか机に寝そべって眠っていたのだろう。机の上にはペンと消しゴム、「私は……」で途切れた書きかけのラブレターがある。
ラブレターを書くのは初めてだった。どう書いたら良いものかいまいちわからない。夢にまで見るあの人は今、何をしているだろうか? 寝ているのだろうか。それとも、起きて何かをしているのだろうか。つい考えてしまう。それが私にとっては楽しいことだった。
夢の内容はぼんやりとしていて何が起こったのか覚えがない。それでも、彼の優しい声が頭の中に響いて、その残響が寝ぼけた私の頭に残っている。私は改めて、文字が途切れている書きかけの手紙を見つめた。
その手紙はとても拙い言葉で愛を伝えようとしている。私の想いは、言葉は果たして彼に届くのだろうか。不安が募る。届かなかったらどうしよう。起きて欲しくないことばかりが頭の中をよぎる。好きだ。だけど、それ以上に離れてしまうのがとても嫌だった。私の目は未だ半開きだ。
どうしようか。こんな手紙、捨ててしまおうか。でも、捨てたらきっと想いは届かない。悲しい未来が待っているだけだ。そんなことにはしたくない。
私は彼のことがとても好きだ。仕方ないほどに好きなのだ。それなら、その想いを、ちゃんと彼に伝えなくちゃいけない。目がはっきりと覚めた。時計は24時49分を指している。私はしっかりと開いた目で窓の外を眺めた。外は煌びやかな光がそこかしこに存在していて、その一つ一つに人の生活と幸せがある。光を見つめて私は、彼と一緒にいたいと思った。一緒にいて、一緒に生活をして、幸せを分け合いたい。そして、あの中の小さな光の一つになりたい。
深夜の24時50分。私は決意した。彼に私の想いの全てを伝えよう。まずはそこからだ。そこから、まだ私も彼も、誰も知らない何かが見えてくるような気がしてきた。そこに幸せがあることを信じて、私は手紙の続きを書く。次の言葉は、「私は、あなたのことが大好きです」にしよう。
(完)
ラブレターを書くのは初めてだった。どう書いたら良いものかいまいちわからない。夢にまで見るあの人は今、何をしているだろうか? 寝ているのだろうか。それとも、起きて何かをしているのだろうか。つい考えてしまう。それが私にとっては楽しいことだった。
夢の内容はぼんやりとしていて何が起こったのか覚えがない。それでも、彼の優しい声が頭の中に響いて、その残響が寝ぼけた私の頭に残っている。私は改めて、文字が途切れている書きかけの手紙を見つめた。
その手紙はとても拙い言葉で愛を伝えようとしている。私の想いは、言葉は果たして彼に届くのだろうか。不安が募る。届かなかったらどうしよう。起きて欲しくないことばかりが頭の中をよぎる。好きだ。だけど、それ以上に離れてしまうのがとても嫌だった。私の目は未だ半開きだ。
どうしようか。こんな手紙、捨ててしまおうか。でも、捨てたらきっと想いは届かない。悲しい未来が待っているだけだ。そんなことにはしたくない。
私は彼のことがとても好きだ。仕方ないほどに好きなのだ。それなら、その想いを、ちゃんと彼に伝えなくちゃいけない。目がはっきりと覚めた。時計は24時49分を指している。私はしっかりと開いた目で窓の外を眺めた。外は煌びやかな光がそこかしこに存在していて、その一つ一つに人の生活と幸せがある。光を見つめて私は、彼と一緒にいたいと思った。一緒にいて、一緒に生活をして、幸せを分け合いたい。そして、あの中の小さな光の一つになりたい。
深夜の24時50分。私は決意した。彼に私の想いの全てを伝えよう。まずはそこからだ。そこから、まだ私も彼も、誰も知らない何かが見えてくるような気がしてきた。そこに幸せがあることを信じて、私は手紙の続きを書く。次の言葉は、「私は、あなたのことが大好きです」にしよう。
(完)