文字数 445文字

   二

 正午過ぎ。ショルダーバッグに携帯と財布、そして本を持って、外へ出た。日差しの強くなってきた街中を、駅にむかって歩いていく。
 いつも行くその図書館は、電車で二駅のところにある。改装されたばかりで綺麗だし、わりと大きくて広々としているので、気に入っている。
 図書館は昔から好きだ。特に高校生のころ、近くに大きな図書館が新しく完成してからは、毎週のように通っていた。持ち出し禁止の古いものから新しいものまで、あれ程蔵書の並んだ図書館は、まだ他に見たことがない。
 図書館に着くとひとまず本を返却し、それからラウンジへ行って少し休んだ。外はだいぶ暑くなり、わざわざ真昼に家を出たことを後悔したが、とにかく、今は涼しい図書館に着いたのだ。今日はもう日が傾くまで、ここで本を読み耽って過ごすことにした。
 ずらりと並ぶ本の壁の間を、ふらりふらりと渡り歩きながら、どれから読もうかと思案するのもまた楽しい。あれも、これもと、わくわくする。ある程度まわって、とりあえず二冊選んで抜き出し、席へ着いた。
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