大和の大地は大舞台

文字数 778文字

大和の大地は大舞台。
古今東西、威勢が命。

見渡す限りの野っぱらに、
どでかい歓声、響く秋。

「わっちゃっちゃ~!!」

タヌキら囲む枯れ葉の土俵、
どよめく一同、風が止む。

「またタヌ吉の大外刈りだべ!」
「山のイノシシでも叶うめえ!」

大関タヌ吉、敵は無し。
あれよあれよと十連勝。

タヌ吉「オラに挑むる猛者はおらねか。二匹でも三匹でもかまわねど」

それはべらぼうな腕っぷし。タヌ吉の吐く啖呵とくれば
山中のタヌキ集まれど、名乗りを上げる姿無し。

タヌ兵衛「わっちゃっちゃ~!!」

そこへ静けさ破る声。年端もゆかぬ初場所ダヌキ。
タヌ兵衛「タヌ兵衛だども。お邪魔してもええべかの」

タヌキら囲む枯れ葉の土俵、
慌てる一同、風が止む。

「命知らずの小粒ダヌキだべ!」
「森のリスがお似合いだべえ!」

一尺ばかりのタヌ兵衛眺め、
外野の野次も無理は無し。

タヌ吉「ええ度胸だべ。始めるべえ」
タヌ吉かまわず塩を撒き、廻しを締めて腰落とす。

タヌ兵衛「だば、おねげえしますで」
タヌ兵衛あらよと土俵へ上がり、覚悟を決めたば見合って見合って。

一同固唾を飲んだらば、
ヨサコラホイサのスタコラ行司。

「はっけよい! ……のこった!」

するとどうしたことだべか。
一同揃って大騒ぎ。

「のこった! のこった!」

タヌ兵衛すかさず小外刈り。
よろけるタヌ吉、土俵際。

タヌ吉「わっちゃっちゃ~!!」

小粒なタヌ兵衛押し切った。
大関タヌ吉、大目玉。

タヌキら囲む枯れ葉の土俵、
舌巻く一同、風が止む。

「たまげたべえ……」
「浜のトドでも敵うめえ……」

タヌキ一同、大仰天。
スタコラ行司の声響く。
「タ~ヌ~兵衛~!」

タヌ兵衛、タヌ吉、頑張った。
タヌキ一同、和気藹々。

みんな揃って
「わっちゃっちゃ~!!」
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