第1話

文字数 877文字

起)歴史大好きな女子中学生、生津瞳。名前はナマヅだが、みんなからはナマズちゃんと呼ばれている。そんな彼女は学校から家に帰る河川敷で知らない男子中学生を見かけるが素通りする。しかし、男子中学生が急に近寄ってきて生津の体を押し、生津は川に転がり入ってしまう。すると突然視界が真っ青になり、生津は江戸時代にタイムスリップしてしまう。

承)江戸時代の東京にやってきた生津。彼女は街行く人の会話から1854年の12月だということが分かる。安政の大地震が南海でこれから起こると知っていた生津は、何とかしたいと思い、町の偉い人のところに直訴するも全く聞いてもらえない。1週間経ち本当に地震が起こったことが分かると、町の役人は彼女の名前がナマズみたいであり、地震を起こしたナマズの化身に違いないとして牢屋に入れられてしまう。

転)とある町で地震を予測した少女がいるという噂を聞いた時の将軍、徳川家茂はそこに役人を派遣して次にくる大地震を当てたら、牢屋から出し、さらに褒美やると言った。そして生津は1855年11月11日に江戸で地震が起こると予測して、多くの人を避難させるようお願いした。それを聞いた徳川家茂は江戸の人民を避難させ、実際に1855年11月11日に江戸で大地震が起こるも、生津のおかげで多くの命が救われることとなった。

結)見事予想を当てた生津は将軍と会うために江戸城に行く。しかしながら、もう少しで将軍と会えそうなところで生津は現実に戻されてしまう。元の世界に戻るも、傍には生津を押した男子中学生がおらず、その代わりに川には一匹のナマズがいた。ナマズは地震を起こす魚として嫌がられているが、それをなんとかして変えたいと思い、汚名の返上をナマズが生津瞳に託し、江戸にタイムスリップさせていたのだった。そして、戻ってきた世界ではナマズが地震を起こす魚ではなく、安政の地震からみんなの命を救った魚として大切にされていた。歴史の本にはナマズの化身が江戸を救ったと書かれており、私はナマズの化身ではないと軽い怒りを感じながらも多くの命を救えたことに喜びを感じるのであった。
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