第1話

文字数 1,258文字

むかしむかしあるところに、まつのちゃやというおちゃやさんがありました。
そこではさんしまいがおとうさんといっしょに、まいにちおきゃくさんをおむかえしていました。
いちばんうえのむすめはおふじといって、りょうりもかんじょうもなんでもできるしっかりもののおねえさんです。
にばんめのむすめはおきくといって、おふじにあこがれてりょうりのべんきょうをしているまっさいちゅう。
いちばんしたのむすめはおうめといって、まだまだちいさいですがおちゃやりょうりをおきゃくさんにはこぶりっぱなはたらきてです。
さんしまいのおかあさんははやくになくなったので、おとうさんはそれはそれはさんしまいをかわいがりました。そしてさんしまいもまた、おとうさんをささえるためにまいにちはたらいてしあわせにすごしていました。

ところがあるひ、まつのちゃやのちかくにあたらしいおちゃやさんができました。そこではかみがたうまれのみやびでうつくしいむすめがかんばんむすめをしているというのです。まつのちゃやにきていたおきゃくさんたちはものめずらしさに、そのあたらしいおちゃさんにいくようになりました。
まつのちゃやにきてくれるおきゃくさんはなじみのきへえさんやきんじょのみどりおばさんくらいになってしまいました。
「このままじゃみせがつぶれちまう」
がっくりとしているおとうさんをさんしまいはみているだけなどできませんでした。
「わたしたちがこのみせをまもるんだ!」

さんしまいがたちあがりました。
まずはおきくがてらこやのともだちにどんなおかしがたべたいかをききます。
「あまくてもちもちしてるのがいいな」
「でもちょっとしょっぱいのもほしいなぁ」
それをきいたおきくがおふじにつたえます。おふじはおかしのつくりかたのほんをみながらどんなおかしにするかかんがえました。そしてざいりょうをかいに、さんしまいはみどりおばさんといっしょにおみせへいきました。
「あんたたちしまいはたいしたもんだよ。じぶんたちでおみせをまもろうとしているんだねぇ」
みどりおばさんはにこにこわらっていいました。
ざいりょうをかったらいよいよおかしづくりです。ひをつかったり、あぶらをつかったり、ちょっとこわいところもあったけれど、おみせをまもるためにさんしまいはがんばりました。

そしてかんせいしたのが、さんしゅるいのおかしがひとつのさらにのったもりあわせでした。あつあつのあげさくらもちに、ちょっぴりしょっぱいしおまめ、そしてつめたくてぷにぷにのくずもちのみっつです。あたらしいおかしがあるときいたひとたちが、たくさんまつのちゃやにやってきました。それのせんでんをしてくれたのはなじみのきへえさんでした。
てらこやのともだちもおとうさんやおかあさんといっしょにきてくれておおにぎわい。まつのちゃやはまえのようにおきゃくさんのえがおでいっぱいです。
「ありがとうよ、おふじ、おきく、おうめ。おまえのたちのおかげでみせがたすかった」
さんしまいとおとうさんは、おきゃくさんをよろこばせながらいつまでもしあわせにくらしました。
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