ぺんさん

文字数 3,565文字

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声屋「めだま」

Pen_san

「……ごめんなさい。今の品からは、ご家族の声を聴くことはできなかったわ」
「そうか……今のは数少ない父の形見。これならばと思ったのだが……では次は、これを頼む」
声屋「めだま」。希望崎学園敷地内にある商業施設の一つ!
その名の通り、ここでは孟宗竹めだまが、自分の能力を生かして道具や無機物からの声を持ち主に伝える代わりに報酬を受け取るという、能力商売を行っていた。
(度重なる戦いで憎しみの力も枯渇してきた……ここで家族の声をもう一度聞ければ、失った憎しみを取り戻すことができると思ったのだが……)
(そう上手くはいかないようだな……死者の念が宿っている品物は少ないと事前に説明は受けていた。覚悟はしていたがこうして直面すると辛いものだ)
修斗は父や母、そして妹の形見である様々な品をめだまに差し出すが、聴こえてくるのはその物品そのものの声ばかり。家族の声は一度も聞こえない。
「……これが最後の形見だ。どうか……」
差し出したのは一輪の枯れた花。しかしそれを手にしても、めだまは首を横に振る
「いよぉ~っ!はっ!はっぴはっぴー!はっぴーなっしー!」
「ごめんなさい。これもダメみたい。……どうやら力にはなれなかったみたいね」
「ああ、今ので形見は最後だ。気にしないでくれ、君のせいじゃない。ここに来たのもだめもとだ。料金はここにおいていけばいいか?」
「そんな、貴方の希望に添えなかったのに、お題なんて……」
「受け取ってくれ。これはほんの気持ちみたいなものだ。それでは俺はもう行くよ。君も気をつけてくれ。悲劇というのは急にやって来る。覚悟をする暇もないほどにね。心構えは常にしておくことだ。それじゃあ」
福田は荷物を大きなバックへ入れて去っていった。めだまの目にはもっと沢山の物が入っている用に見えたのだが……恐らく仕事の道具でも入っているのだろう。かなり物騒な。
「憎しみを取り戻すために声が聞きたいなんて、変な人だったわね……。優しくて、そして悲しい瞳を持った人……。私達も、彼の幸運を祈ってあげましょう」
「ひゅー!ぴっぴぴー!ぽるぴー!」
「おん……おん……ぐ~るぐ~る……」
「執筆時間は残り45分だよ!」
「ふふ……そうね。皆もそう思うわよね」
客を見送り、めだまは周囲を囲む無機物達の声を聞きながら、読書に戻った。
一方その頃!
「はぁ……はぁ……仕方ない……仕方ないんだ……これは復讐……復讐のためだから……」
店を出たはずの修斗は、まだ希望崎学園の敷地内にいた。その手に握られたのは、ガソリンスタンドで購入したポリタンク!そして中にはいった大量の軽油を、ぼとぼとと声屋「めだま」の周囲にぶちまけていく!
「♪~♪~♪~」
「ぽっぽるんが!ぼってんぼってん!」
「執筆時間は、残り40分だよ!」
おお……しかしそのことにめだまは気づかない!彼女の耳は彼女自身の能力によってもたらされる声で塞がれているのだ!そして!
「めだま……君に罪はない……だがこうしなければ俺は復讐を果たせないんだ……無力な俺を……どうか許してくれ……!」
修斗が手に持ったライターで……ぶちまけられた軽油に、火を付けたぁー!
「いよおおおおおーっし!出番だ!勢い良く燃えちゃうぞー!どっかーん!」
「!?きゃあああー!」
「おげべええええー!」
「あ、あばー!?」
「残りあと……ひぎょばああああああああ!」
KABOOOOON!KABOOOOOOON!爆発に包まれ、一瞬で燃え上がる声屋「めだま」!
「げほっ……げほっ……!い、いったい、な、なにが……!何が起こってるの……!?」
崩れ落ちた家の中から何とか抜け出すめだま。しかし……彼女はすぐに異変に気づいた。
「あ……あれ!?皆!皆どこ行ったの!?なっしーちゃん!ぐーるー!バリアーマン!皆……!皆!返事をしてよ皆ー!」
しーん
しーん
執筆時間はあと30分だよ!
「しーん」
「み、みんな……うわーん!皆が!私の大好きな皆が死んじゃったよー!うわーん!」
泣き叫ぶめだま……彼女に向かって、修斗が歩み寄る
「……めだま。どうだ、今の気分は」
「こんな……酷いわ!あんまりだわ!私はただ静かに読書をしていただけなのに……!悲しい……とても悲しいのだわ……!」
「そうか……ちなみに今家を燃やしたのは俺だ」
「!!」
「もう一度聞く……今の気分はどうだ」
「なんで……なんだってこんなことをしたの!貴方の力に成れなかったから恨んでるの!?だとしたらとんだ逆恨みだわ!貴方が勝手に押しかけてきただけなのに……!最低なのだわー!」
涙を流して修斗を糾弾するめだま。修斗はそれを見て、眉間にしわを寄せる。
「なんで……なんでだと!?貴様は今の状況を見てもわからないのか!」
「わからないわよ!一体何だってのよ!」
「この俺の目的はただ一つ……復讐だ!俺が楽しんでこんなことをやっていると思うのか!?この馬鹿者が!お前の家を燃やしたのも復讐のためだ!復讐に必要だからやったのだ!なぜそんな簡単なことがわからない!」
「さあ!家を見ろ!この状況を作ったのは俺だ!何か沸き上げてこないか!?胸の奥から……怒りを押しのけてもっと毒々しい胸を焦がす思いが!込み上げてくるだろう!そう……憎しみが!」
「ひっ……!?い、一体何を言っているの……!?に、憎しみ……!?は、離して!いたい、痛いのだわ!」
「湧いてこないのか……どうやらまだ足りないようだな!ならば……これを見てみろ!お前にも解るはずだ……!この俺の抱いた憎しみが!」
ごろん
「ひ、あ……!?」
修斗が取り出したのは死体だった。しかもただの死体ではない……それは友人が殆ど居なかっためだまの、たったひとりの友人の死体だったのだ!
「う、うわあああああー!?」
「おおお、おおお……!いいぞ!いいぞ!それだ、その感情だ!憎め、もっと俺を憎むのだ孟宗竹めだまー!」
「くははははー!憎悪を力に変える我が能力!『パワー・オブ・ザ・ヘイトレッド』が活性化していくのが解るぞ!これで……やつを倒す力がまた一つ備わった!」
「だがまだ足りない!足りないぞ!そうだ!お前の能力をその死体に使うのだ!そして声を聞け!貴様の友人がどうやって俺に殺されたのかを全て聞き出すがいい!そうして高まった憎しみが、俺に更なる力を与えるのだ!ひゃーっひゃっひゃっひゃっひゃー!」
「ゆ、許さない……許さない!殺してやる!絶対に殺してやるー!!」
びゅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
「む……!?な、なんだこの音は……!次第に……おおきく……!?」
「これは……天の怒りよ……!」
「天の怒り!?なんだそれは!」
「こんな非道をした貴方を……天が見逃すはずがない……!天罰が下るのよ!この音は次第に大きくなり貴女の精神を粉々に破壊するまでやまないわ……!地獄の苦しみの中で……!後悔しながら死んでいけー!うわあああああー!」
「な、何をバカなことを行っている!この音は貴様にも聴こえているのだろう!?そんなことをすれば、貴様も一緒に……!」
「構わない……貴方を殺せるなら……今ここで、死んでも……!」
びょおおおお!ぶおおおおおおぶおおおおおお!どあがあああああん!ぼおおおおおん!ずどおおおおおおおおおおおん!
「ぐあああああああああー!頭が割れるー!お、オレの心が……た、耐えられない……!さ、先にあいつを殺そうにも……!も、もう体の制御が……!うぎゃああああああああああああああああ!」
「ごめんね皆……私もすぐ……そちらへ……行くから……」
びゅおおおおおぶおおおおおびゅごおおおおおお
びゅごおおおお……びゅおおおお……
ひゅうううー……
…………
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Pen_san

その日……希望崎学園に通う生徒は、頭のなかに響く巨大な怪音を聞いた。
その音は一日昼夜鳴り響き続け、それが原因で生徒の約8割が脳への損傷を受け、被害は救助に訪れた救急隊員にすら及んだ。
この事件を切欠に希望崎学園は閉鎖。また、犯人が魔人だと判明すると、世論は加熱。翌年には、後の世でディストピア法とも言われる、魔神管理法案が国会で可決された。
執筆時間は残り7分だよ!
 なお、その時の犯人と目される三腕の魔人、福田修斗はその後も数度に渡る大規模テロを引き起こし、全世界から指名手配を受ける。
 彼の犯罪による被害者は述べ一億人以上に登ると言われるが、彼は異常なまでに強力な魔人であり、三十年経った今でもその捕獲は成されていない。
今も彼は世界を彷徨い、戦い続けているのだろう……どこに居るとも知れぬ復讐相手を、その手で殺すために……。
「憎しみだぁ~!もっともっと……憎しみをよこせぇ~!ひゃーっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃああ~!」
完!
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登場人物紹介

名前:福田 修斗
性別:男

能力名:『パワー・オブ・ザ・ヘイトレッド』
憎しみを力に変える事ができる能力。
力に変えた憎しみはどんどん減っていき、使いすぎるとそれ以上の力が得れなくなる。
数年もの間この能力を使ってなお高い戦闘力を持っているのは、
彼の持つ憎しみがそれだけ強大だということだろう。

設定:

三本の腕を持つ復讐者。

両親、そして最愛の妹を殺され、さらに腕を一本断たれた恨みから魔人へと目覚めた元高校生。
復讐を試みてから時が立ち、今は30歳手前の青年。

復讐を始めた当初は、憎しみの中に消えない正義感を持ち時には甘いとも言われる行動を取ることもあった。
しかし敵の強大な力を前に日に日に消耗していき、
今ではあらゆる非道な手段を取ってでも復讐を果たそうとする修羅と化した。

戦闘スタイルは能力を全面に使った肉弾戦を主とする。

相手を倒そうとする理由:復讐を果たすため。

プレイヤー:ぺんさん

名前:孟宗竹めだま(もうそうちく めだま)
性別:女
特殊能力:デイドリーム・パレード
自身が妄想したセリフを、自他共に無生物が話しているように錯覚させる能力。
表面上は「めだまが聞きたいと思った無生物の声を聞くことができる能力」なのだが、当然、無生物に意思は無い。聞こえてくる声はめだまの妄想が生み出したものである。
しかしこの能力で聞こえる声は、めだま本人も含めて、その無生物が発しているものだと認識する。
声はその場で人が話すのと同じように周囲の人物にも聞こえる。

設定:妄想癖のある17歳JK。友達がおらず毎日本を読んで妄想の世界に浸っていた結果、妄想力が加速して魔人能力として覚醒した。おかげで無生物達とおしゃべりができるようになって寂しくなくなった。

相手を倒したい動機:本を読むのを邪魔されたから

プレイヤー:餅から

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