第1話

文字数 886文字

密着取材ですか?私なんかに?物好きも、いるものですね。
他の方々のほうが、ずっと目立っているのに。きっと、面白くないと思いますよ。
私、引っ込み思案というか、実際そんなに目立ちたくはないんですよ。
派手が苦手というか。
あ、いや、別に他の方々の悪口とかではないんです。すみません。
私、姉妹もたくさんいるんですけど、みんなやはり控えめというか…
今、地味って言おうとしませんでしたか?わかっていますから、大丈夫ですよ。
 
他の方々に付いてどう思うか、ですか?
うーん。一つの目標に向かって、ワーッという感じで、すごく情熱を感じますよね。
私にはそういうのは無いので、少し憧れもあります。
何と言うか、私が思うに「アイドルグループ」みたいな存在なんじゃないかな?
わかりにくいですか?大勢で集まって、練習して披露して、盛り上がる。という流れが、
何かアイドルグループみたいで、カッコいいんですよ。私には無理ですけど。
別に卑屈にはなっていなので、大丈夫です。

姉妹について、ですか?
みんな、そっくりなんですけど、微妙に違うんですよ。
見分けですか?なかなかつきにくいと思います。
ただ、パッションというか、あ、すみません。
最近覚えた単語を使ってみたくて、つい。意味違ったら、すみません。
「魂の叫び声」と、私たちは言っています。
大げさですか?そんなこと、ありませんよ。
そうだ、私たちの場合、ダンサーに近いんじゃないかな。
たった一人で、舞台で踊るんですよ。
孤独なダンサー。まさに全身全霊をかけて。
え?カッコいいですか?ありがとうございます。
でも実際、上手くいったり、いかなかったりなんですよ。
いかなかったら、最悪ですけどね。それは…怖いです。
これでも、人生かけてるんですから。

もう出番ですか?私、口下手だから、退屈したでしょ?
それじゃ、行ってきます。
最後まで、インタビュー続けるんですか?
じゃあ、私の魂の叫び、見ていてくださいね。

最高のダン…

ポタリと赤い光が地面に落ち、インタビューは途中で終了した。

彼女の名前は、線香花火。


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