第1話 夢で泳ぐ〜怪獣・コチラの最後〜

文字数 1,070文字


俺の名はコチラ。
俺は核実験の影響で突然変異によって生まれた。
職業は怪獣、時に破壊神、まれに救世主。
主な活動拠点は日本で、アメリカに何度か出張したこともある。
仕事内容は、破壊活動。
人間を恐怖と混乱に陥れるが俺の役割だ。
攻撃拠点は、主に日本。
そう、活動拠点が攻撃拠点でもある。
特に東京を破壊することに長けていて、メジャーな場所は大抵破壊した。
出張先のアメリカでもいい感じに暴れたな。
たまに、気まぐれで人間を助けることもある。

だか、勘違いするな。
俺は破壊神、破壊することが俺の仕事だ。

それじゃあ、本題に入ろうか。
俺は生まれてから何十年も怪獣をしてきた。
人間ならけっこうな年だ。
それで俺はふと考えた。
怪獣コチラの最後は?
どんなエンディングになるのか?
考えたことはないか?
俺は考えた。
ラストはこうだ。

俺、怪獣コチラは、思い出したように海から這い出てきて、破壊の限りを尽くす。
全ての大陸に上陸しては破壊していく。
俺が出す脅威的なエネルギーは全てを無に帰す。
汚染された荒土に希望はない。
人間の努力は報われない。
そもそも何ができる?

俺は最後に日本を破壊する。
俺の活動拠点は日本だからな。
世話になった日本を最後に破壊するのが礼儀ってもんだろう。
そして全てが、全世界が破壊される。
そこに見える景色は何か?
なんだと思う?



世界の平和だ。
争いのない平和な世界だ。
静から荒涼とした世界だ。

そして俺はまた海に帰っていく…。



これが俺の考えるコチラの最後。
おまえたちはどう考える?
おっと、終わりにはまだ早い。
これには次がある。


世界に平和が訪れる。
そして数年、数十年、数百年後に新たな生命が誕生する。
そう、俺と同じ核による突然変異で生まれし生き物たち。
深海の奥底から、あるいは地面の奥底から、あちらこちらから、そいつらはむくむくと顔を出す。
そして世界の覇権を目指した争いが始まる。
シン・コチラ期の始まりだ。

もちろん、俺も参戦する。
負けるつもりはない。
新参者とは場数が違うからな。




だが、ここで一つはっきり言っておこう。
勘違いしては困るからな。


俺が住んでいる世界は…
俺のいる世界は、破壊の限りを尽くして街を壊しても、来週には何事もなかったかのように街が元通りになっている。
そして何事もなかったかのように、また新たな物語が一から始まる…
そんな世界だ。
そんな世界の中でのお伽噺話だ。




破壊の限りを尽くして、再起不能なことを平気でやってのける、そんなおまえたちの世界とは違うんだよ。




俺はこれからも長く破壊の限りを尽くし、おまえたちを恐怖と混乱に落としいれていく…。
再生可能な世界の中で…。
























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