unknown kiss
文字数 207文字
デートでは無口なあなたも、枕で向かい合うとおしゃべりだった。そこに嘘偽りはないと思ってた。
でも、それは誰かに見せられない分だけ。私が知っているのは、誰かが知らない一部分。
独りの休日。街であなたを見かけた。
「明日の夜、部屋に行くよ」
その時に届いた通知は残業という名の約束だった。
奪えるものなら奪いたかった。でも、携帯電話をしまったあなたが満面の笑みで握っていたのは。
私よりもっともっと小さな掌だった。
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