第1話

文字数 1,358文字


みずうみのほとりに、ちいさなおうちがありました。
そこには、ゆいちゃんという やさしいおんなのこと、ようせいのミ〜ミとピッピがくらしていました。

ゆいちゃんは、まいにち ケーキをつくりました。ようせいのごはんはケーキだからです。
たまごと こなと バターをよくまぜてから やき、しあげに、まっしろなクリームをたっぷりぬるのです。
ミ〜ミとピッピは、このケーキがだいすきでした。
くいしんぼうのミ〜ミは、
「いつか、このケーキをあと10こおかわりしたいなあ」
と、いつもいいました。
するとしっかりもののピッピは、
「そんなにたべたら、ふとってとべなくなっちゃうわよ?」
とやさしくしかるのです。
ゆいちゃんは、
「じゃあ、あしたはもっといっぱいつくるわ」
とわらっていいました。

ミ〜ミとピッピは、まいにち、にじをつくりました。
ここではまいにちすこしだけあめがふるからです。
あめあがりに、にじをそらにかけるのがミ~ミとピッピのしごとでした。
あめがふると、ミ〜ミはゆっくりいろんなはなびらをあつめ、
ピッピはみずうみをスイスイおよいで キラキラしたおさかなのうろこをあつめました。
それからミ~ミとピッピは、あつめたものを いとで いちまいずつ
ていねいにつなぎあわせて そらのくもに しっかりぬいつけました。
するとたちまちあめがやんで、きれいな にじが できるのです。
ゆいちゃんは、ようせいたちがつくったにじをみるのがすきでした。
にじがきえてしまうまで、いつもじっとながめていました。そしてかならず、
「きえないにじがあればいいのに。それにもっと、いろんなひとにみてほしいわ」
と、いうのでした。

あるひのことです。いつものように ゆいちゃんがケーキをつくっていますと、
「きゃー!たいへん!!」
と、そらからピッピのひめいがきこえました。
ゆいちゃんが、
「どうかしたの?! だいじょうぶ?」
と、あわててみにいきますと、ミ~ミは、みずうみのそばの おはなばたけにたおれていました。くもににじをぬいつけているときに、おちたのです。
「うう〜ん……おなかがいたいよう」
ミ~ミは、きのうケーキをたべすぎたので、おなかをこわしてしまったのです。
「かわいそうに。どうしよう?……あっ、そうだわ!」
ゆいちゃんは、ひらめくと、そらのくもにいるピッピにさけびました。
「ピッピ、わたしがケーキをもってきたら、そこからにじを、おとして!」
ピッピはわけがわかりませんでしたが、やるしかありません。
ゆいちゃんはいそいでおうちから、まっしろなケーキをもってきました。
「ピッピ、いいわよ!おとして!」
ピッピが、くもからにじをきりはなしました。
にじは、ケーキにのうえにおちました。
するとあっというまに、まっしろなケーキがにじいろのケーキになりました。
ゆいちゃんはそのにじいろのケーキをミ〜ミにたべさせました。
にじには、わるいところをやっつけるおくすりがはいっていて、
ゆいちゃんはそれを、むかしなにかでよんでしっていたのです。
ミ~ミはすっかりげんきになりました。
「ありがとう、ゆいちゃん!」
3人は、それから、まいにちにじいろのケーキをつくることにしました。
そして、びょうきで くるしんでいるひとにくばっていきました。きれいなにじいろのケーキのおかげで、みんな とってもげんきになりました。

おわり 
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