第1話
文字数 1,997文字
僕はお酒が怖い。だから二次会はいつも断っていた。
その日も帰る予定が友人にスナックへ引きずられてしまった。
チラリと見ると、先輩の沢渡さんの姿もある。
イケメンで肩幅が広くてスーツ姿がカッコイイ。
僕は何となく、まあいいかと行くことにした。
ところが運の悪いことに、部長が僕を自分の隣に引き寄せる。
友人は手を合わせて逃げちゃった。
ああ、最悪の席じゃん。
僕は真っ青な顔になった。
僕の酒の失敗とは、前の会社の歓迎会で泥酔して、覚えてないけど路上で服を脱ぎまくり、朝起きたら警察にいたというわけだ。
つまり、3日で辞めた前科がある。
「さあ!飲め!」
ドンッと水割りのコップが置かれ、部長がウイスキーを足した。
仕方ないので、ちょっと一口。
「何だ、ちょっとじゃないか、飲め!明日休みだろ。」
部長はすっかり出来上がっていて、半泣きでちょっぴりずつ飲む。
「ほら何だよ、グイッとやれよ」
僕の酒癖を部長は知ってるはずなのに。
ハッとして、部長の顔を見た。
知ってるから、飲ませたいんだ!
ザッと血が下がって、急に怖くなった。
どうしよう、帰りたい。帰りたい。
「ちょっと失礼」
突然、部長と反対側に誰かが座った。
うつむく僕の肩をグイと引き寄せ、部長から引き離してくれる。
「部長、今どきは強く勧めるとパワハラですよ?酒は楽しく飲みましょうよ。」
「パワハラ〜?何だよ沢渡、面白く無い事言うなー」
誰かが歌い始めて歓声が上がる。
「こっち来て。」
そっと、身体をずらして部長から離れると、パッと部長が顔を向けた。
「朝霧!どこ行くんだ!」
「やだなー、トイレですよ。川崎くーん、部長とデュエット!」
「おおー!いいね!」
沢渡の機転で部長の意識が離れてホッとする、2人でカウンター席に行くと、彼にお礼を言ってようやく緊張の糸が切れた。
「大丈夫?ハンカチ、ほら。」
「いえ、すいません。お席に戻られても大丈夫です。」
「いいよ、たまには一緒に飲もう。2人で飲むの、初めてだな。」
カアッと、顔が赤くなる。
コクンと小さくうなずき、僕は落ち着こうと一口飲んだ。
ウイスキーが濃くて、カッと口の中が熱くなる。
「頬が赤いよ、ククク、君、可愛いね。」
「からかわないでください。」
「だって、君、僕のこと良く見てただろう?」
カアッとまた顔が燃えて、壁に寄り、小さくなって何度もツバを飲む。
きっと、きっと気持ち悪いって思われてる。
「僕も君のこと見てたんだよ、知ってた?」
え…… イケメンの顔が、近くて緊張する。
僕はたまらずコップを飲み干しテーブルに置くと、すかさずママさんがおかわりを作ってくれる。
「うそ、なんで?」
「裸で歩いてたの、見たんだ。」
「えっ!?」
えーーーーーー!!!!
「お、お願、い、言わな……」
「言わないよ。君の姿、目に焼き付いてる。君のことが忘れられないんだ。」
「そんな、どういう事?」
「恋?かな、君の身体はステキだ。」
まさか、緊張してゴクゴク飲んでしまう。
チラリと見上げると、沢渡の横顔に見とれる。
ああ、なんだろう。僕も好き…… なのかな?
もちろん僕はワケがわからないうちに彼の言葉を聞くごとに飲み干して、
「あーつーいー、脱ぐ、脱いじゃうーー」
「ダメダメ、ここで脱いじゃ駄目だよ。あ、俺送っていきます。」
「やだーー!帰らないーーー!」
「ハイハイ、帰ろうね。」
案の定すっかり出来上がった僕は、彼にお持ち帰りされてしまった。
翌日、僕は知らない部屋のベッドの中ひどい頭痛で目覚め、真っ青になった。
全裸だ……まさか、まさか、エッチされちゃったのかな?
怖くて動けないでいると、沢渡さんがスエット姿で現れた。
「おはよう。ああ、君また服脱いじゃったんだよ。服はそこ、
シャワー浴びておいでよ、下着の買い置きあるから。」
はああ、良かった。ビックリした。
シャワー浴びて出ると、バスタオルがあったので腰に巻いて出た。
「ああ、やっぱいいね。うん、いいね。」
パンツ持って、僕の身体を上から下までジロジロ見てる。
なんか恥ずかしくて、腰に巻いたバスタオルを上にずらそうとして落とした。
急いで手を伸ばすと、サッと横から取られてしまう。
僕は慌てて後ろを向いた。
「えっ、なんで?返してください。」
「んー、やっぱなー、寝てる姿もいいが、こっちもいいね。」
急に迫ってくると、いきなり壁ドンされた。
「やらせてくれよ。いいだろう?」
「えっ、そんな……」
こんな朝から? いや急に、そんなこと言われても。
だって初めてなのに、僕は心と身体の準備が出来てないし。
えっ、やだ、こんな雰囲気で?あっ、やだ、カッコイイ、僕、僕は、ああ……
「君の身体はエロティックでそそられるんだ。」
やだ、そんな。
「デッサン、させてくれよ。」
「は?」
「描かせてくれ、俺は男性の裸体描くのが好きなんだ!」
バサァッ
男の寝姿とエッチなポーズの絵がドサドサ出てくる。
「フ、昨夜は徹夜しちゃったよ。」
ギャアアーー!!
マジでこいつは僕の身体目当てだった。
その日も帰る予定が友人にスナックへ引きずられてしまった。
チラリと見ると、先輩の沢渡さんの姿もある。
イケメンで肩幅が広くてスーツ姿がカッコイイ。
僕は何となく、まあいいかと行くことにした。
ところが運の悪いことに、部長が僕を自分の隣に引き寄せる。
友人は手を合わせて逃げちゃった。
ああ、最悪の席じゃん。
僕は真っ青な顔になった。
僕の酒の失敗とは、前の会社の歓迎会で泥酔して、覚えてないけど路上で服を脱ぎまくり、朝起きたら警察にいたというわけだ。
つまり、3日で辞めた前科がある。
「さあ!飲め!」
ドンッと水割りのコップが置かれ、部長がウイスキーを足した。
仕方ないので、ちょっと一口。
「何だ、ちょっとじゃないか、飲め!明日休みだろ。」
部長はすっかり出来上がっていて、半泣きでちょっぴりずつ飲む。
「ほら何だよ、グイッとやれよ」
僕の酒癖を部長は知ってるはずなのに。
ハッとして、部長の顔を見た。
知ってるから、飲ませたいんだ!
ザッと血が下がって、急に怖くなった。
どうしよう、帰りたい。帰りたい。
「ちょっと失礼」
突然、部長と反対側に誰かが座った。
うつむく僕の肩をグイと引き寄せ、部長から引き離してくれる。
「部長、今どきは強く勧めるとパワハラですよ?酒は楽しく飲みましょうよ。」
「パワハラ〜?何だよ沢渡、面白く無い事言うなー」
誰かが歌い始めて歓声が上がる。
「こっち来て。」
そっと、身体をずらして部長から離れると、パッと部長が顔を向けた。
「朝霧!どこ行くんだ!」
「やだなー、トイレですよ。川崎くーん、部長とデュエット!」
「おおー!いいね!」
沢渡の機転で部長の意識が離れてホッとする、2人でカウンター席に行くと、彼にお礼を言ってようやく緊張の糸が切れた。
「大丈夫?ハンカチ、ほら。」
「いえ、すいません。お席に戻られても大丈夫です。」
「いいよ、たまには一緒に飲もう。2人で飲むの、初めてだな。」
カアッと、顔が赤くなる。
コクンと小さくうなずき、僕は落ち着こうと一口飲んだ。
ウイスキーが濃くて、カッと口の中が熱くなる。
「頬が赤いよ、ククク、君、可愛いね。」
「からかわないでください。」
「だって、君、僕のこと良く見てただろう?」
カアッとまた顔が燃えて、壁に寄り、小さくなって何度もツバを飲む。
きっと、きっと気持ち悪いって思われてる。
「僕も君のこと見てたんだよ、知ってた?」
え…… イケメンの顔が、近くて緊張する。
僕はたまらずコップを飲み干しテーブルに置くと、すかさずママさんがおかわりを作ってくれる。
「うそ、なんで?」
「裸で歩いてたの、見たんだ。」
「えっ!?」
えーーーーーー!!!!
「お、お願、い、言わな……」
「言わないよ。君の姿、目に焼き付いてる。君のことが忘れられないんだ。」
「そんな、どういう事?」
「恋?かな、君の身体はステキだ。」
まさか、緊張してゴクゴク飲んでしまう。
チラリと見上げると、沢渡の横顔に見とれる。
ああ、なんだろう。僕も好き…… なのかな?
もちろん僕はワケがわからないうちに彼の言葉を聞くごとに飲み干して、
「あーつーいー、脱ぐ、脱いじゃうーー」
「ダメダメ、ここで脱いじゃ駄目だよ。あ、俺送っていきます。」
「やだーー!帰らないーーー!」
「ハイハイ、帰ろうね。」
案の定すっかり出来上がった僕は、彼にお持ち帰りされてしまった。
翌日、僕は知らない部屋のベッドの中ひどい頭痛で目覚め、真っ青になった。
全裸だ……まさか、まさか、エッチされちゃったのかな?
怖くて動けないでいると、沢渡さんがスエット姿で現れた。
「おはよう。ああ、君また服脱いじゃったんだよ。服はそこ、
シャワー浴びておいでよ、下着の買い置きあるから。」
はああ、良かった。ビックリした。
シャワー浴びて出ると、バスタオルがあったので腰に巻いて出た。
「ああ、やっぱいいね。うん、いいね。」
パンツ持って、僕の身体を上から下までジロジロ見てる。
なんか恥ずかしくて、腰に巻いたバスタオルを上にずらそうとして落とした。
急いで手を伸ばすと、サッと横から取られてしまう。
僕は慌てて後ろを向いた。
「えっ、なんで?返してください。」
「んー、やっぱなー、寝てる姿もいいが、こっちもいいね。」
急に迫ってくると、いきなり壁ドンされた。
「やらせてくれよ。いいだろう?」
「えっ、そんな……」
こんな朝から? いや急に、そんなこと言われても。
だって初めてなのに、僕は心と身体の準備が出来てないし。
えっ、やだ、こんな雰囲気で?あっ、やだ、カッコイイ、僕、僕は、ああ……
「君の身体はエロティックでそそられるんだ。」
やだ、そんな。
「デッサン、させてくれよ。」
「は?」
「描かせてくれ、俺は男性の裸体描くのが好きなんだ!」
バサァッ
男の寝姿とエッチなポーズの絵がドサドサ出てくる。
「フ、昨夜は徹夜しちゃったよ。」
ギャアアーー!!
マジでこいつは僕の身体目当てだった。