本懐

文字数 140文字

自分が高熱で苦しいとき、
妻はまるで悲しそうだった。

妻が熱を出して苦しんでいるとき、
おれはまったく苦しくもなく
人間の悲しさが分からなくなった。

ひとは、
どこまでも
内側に生きている。

そう思った、
その瞬間から
おれはきっと妻よりも
少しだけ不幸になろうと
ようやく愛の本質に
悲しみの底を知った。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み