第1話

文字数 672文字

必要物資を運ぶ仕事について半世紀近くなるかな。
最初に比べるとここら辺の道も悪くなってきたな。
気をつけないとぬかるんでて運びづらいこともあるんだよね。
前は弾力もあって、振動も吸収してくれたのになあ。

こないだなんか、道の真ん中にでっかいこぶができてて、迂回しようとすると道に亀裂が走って、危うく動けなくなるところだったぁ。あぶねえあぶねぇ。

自分で道を選べるといいんだけどさあ、自動運転でね。
中央の指令に従って物はこんでるだけでね。
道が狭かろうが、ぬかるんでようが、完全に工事中になってない限り、通らざるを得ないんだわ。
世間じゃぁネットワーク社会だの自動運転なんて騒いでいるけどさぁ。もうそんなこと昔っから当たり前の世界よ。

どんな遠いところでも、行きにくいところでも、必要なものを届けるのは、俺たちの使命だかんね。

今日は、街のBGMもいつもよりビートが効いちゃって。
何かいいことあったのかねぇ。街全体が浮かれてるみてぇだな。

お荷物届けたら置き配でね。どんどん次行かねえと。
ハンコ?いらねえよ。
次待ってるからね。
街のはずれまできたようだね。
運ぶ物資も届け終わったし、センターにまた物資積みに戻ることになるな。
道は一方通行でね、帰りの道は、行きの道とは違う道で帰るのさ。
荷物もなくなって体も軽やか。さあて今日も頑張るかあ。

お?
なんだ?空に穴が開いて、、なんだこりゃ。
ぅぉぅおーーー吸い込まれるぅー。

”はい終わりましたよ。ここ血が止まるまで3分ほどしっかり押さえてください。ではお次の方ぁ。”


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み