第1話

文字数 1,522文字

 あさになり、まこは、めをさましました。ところが、へやはまっくら。
「パパ、ママ、どこにいるの?」
「まこちゃん、たいへんだ!」
 とつぜんこえがして、まこはびっくり。
「だれ!?」
「ぼくのなまえは、マックラ―。きみのパパとママ、さらわれちゃった!」
「どういうこと!?」
「よふかしおばけのしわざだよ。よるおそくまでおきているひとを、さらっていくんだ。」
「マックラ―も、おばけなの?」
「ちがうよ。きみの、みかたさ。いっしょにパパとママをたすけよう。」
「う、うん。でも、どうやって? こんなにまっくらじゃ、なにもみえない。」
「おっと、ごめん。あかるくするね。せーの!」
 ぱっと、とつぜんへやがあかるくなりました。すると、まくらが、ぴょんとまこのむねにとびこみました。
「マックラ―って、まくらだったのね!」
「ぼくは、まわりをくらくしたり、あかるくしたりできるんだ。さあ、よふかしおばけのくにへ、しゅっぱつだ。せーの!」
びゅうっと、つよいかぜがふいて、まこはおもわずめをつむりました。おそるおそるあたりをみわたすと、ひろいばしょに、おとなたちがなんにんもいました。みんな、うつろなひょうじょうで、スマホやテレビをみています。
「ここにくると、ねることをわすれてしまうんだ。」
「パパとママがいたわ! ねえ、かえろう! ここにいちゃだめよ!」
 まこは、パパとママをゆさぶりましたが、ふたりともなにもいわず、がめんばかりをみつめています。
 すると、よふかしおばけがあらわれました。くろいおおきなかげのなかに、ふたつのめがきみわるくひかっています。
「むだむだ。ここはやつらにとって、いごこちがいいのさ。」
 まこは、にげだしたいきもちをぐっとおさえて、マックラ―にいいました。
「まっくらにして!」
「わかった。せーの!」
 まっくらやみになっても、スマホのがめんは、ひかったままです。
「ひっひっひ。くらいところでみると、よけいねつきがわるくなりますよーだ。」
 まこは、すうっといきをすって、こもりうたをうたいました。
『うえのまぶたと したのまぶたが なかよくくっついた おやすみなさい またあした』
 あたたかく、やさしいうたごえでした。よふかしおばけのまぶたが、だんだんおもたくなります。
「ねむたくなんかないぞ。ふわあ~。」
 おおあくびをすると、とうとうゴロンとねてしまいました。するとみんなは、ハッと、われにかえりました。
「まこ、ここでなにをしているんだ?」
 パパは、きょとん。
「やったあ! まこちゃん、すごい。」
 マックラ―は、うれしくてとびはねます。
「ママがいつも、うたってくれているの。」
 まこは、むねをはりました。
 そのとき、ひかりかがやくトンネルがあらわれました。
「はやく、この『フトンネール』にはいって!」
 マックラ―は、みんなをトンネルのなかにゆうどうしました。まこも、パパとママのてをひいて、かけだしました。フトンネールのでぐちのさきが、ひかりかがやいています。
 きがつくと、みんな、じぶんのふとんのなかでした。
「なんだか、へんなゆめだったなあ。」
みんなは、くびをひねりましたが、あたたかいふとんのきもちよさにウトウト。すぐにぐっすりねむりました。
 まこたちも、ふとんのなかでした。いつものパパのいびきがきこえてきます。
だいぼうけんからかえってきたまこは、なんだか、まだむねがどきどき。
「どうしよう。ねむれなかったら、よふかしおばけがでてきちゃう。」
 すると、マックラ―のこえが、みみもとできこえました。
「だいじょうぶだよ。ほら。」
「まこ、こもりうたをうたおうか?」
 ママが、まこをやさしくトントン。
「うん!」
 まこは、すぐにぐっすりねむることができました。

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