第1話

文字数 1,399文字

「僕はロボット二号、今日もお仕事頑張るぞ。」と洗面台の鏡に向かって自分に気合を入れる
新型ロボットは朝のエネルギー補給をして自分の仕事場である工場へバスに乗って向かった。
工場の入り口で同僚の人間たちに挨拶を終えて直ぐに自分の上司である人間に
「⚪︎さんおはようございます」丁寧なお辞儀をして挨拶をした。
しかしその上司はいきなり突然拳で殴って怒鳴りつけた。
「このポンコツめ‼︎、昨日不良品が出たぞ‼︎、今日も出したらスクラップにするぞ‼︎」
「申し訳ありません!、次は気をつけます!」
「それにちゃんと気合いは入れているか?シツコイかもしれないが、お前はロボットだ
人間とは違う、それを覚えておくんだぞ。」と彼は仕事場へと向かった、そして
ロボットも仕事をするために持ち場へ向かった、目の前の製造機械を動かし、
機械の部品を作った、ロボットである自分が機械を動かして機械の部品を作る
そしてその部品で機械ができるなんて、おかしい話でもあり同時に面白い話でもある。
この仕事は楽しいかと言われると、特に楽しいわけではない、毎日上司から怒られてばかりで
お金はほとんど製造主であるその上司に取られるのだ。
でも僕はロボット、不満は抱いちゃいけないし完璧な結果を出さなきゃいけないのだ。
昼になって僕はエネルギーの補給をして休み時間に人間の同僚たちと話した。
彼らは僕のことを心配してくれるのだけど、大丈夫僕はロボットだからといって安心させた。
お昼の仕事は常に上司の怒鳴り声で響いてばかり、人間たちも大変なんだなと思いながらも
自分の仕事に集中しないと今度は僕も怒られる。やがて仕事も定時になってそろそろ帰ろうと
するけど「おいロボット、お前は今日十二時まで残れ、俺の代わりに△がお前の見張りをするからな」といって上司は帰った。
△さんは僕の先輩のロボットなので気が少し合う人だった。
深夜の仕事中に「最近はどうだい」「僕の方は足のパーツに故障が出始めたよ」と話をするので少しは楽に思えた、でも次の日に彼はスクラップになってしまったので寂しく感じた。
そのまた次の日には上司の⚪︎さんが同僚の人間を殴って大怪我を負わせてそのまま、
クビになってしまった、怖い人だったけど僕を作ってくれた人なのでやっぱり寂しく
思った。彼がいなくなってからもいつも通り、仕事を黙々としていたが最近はメンテナンスを
怠っていたか腕や足のパーツにガタが来ていた、おまけにヘッド内のコンピューターチップも
すでに古くなっていて上手く意識が保てない、周りの同僚も、もう休めといってくるが
僕はロボット、壊れるまで仕事に全力を尽くさなきゃと自分に気合を入れた。
自身の状態が良くないのかエネルギーが上手く補給できないのでさらにあらゆるパーツに
故障が出始めた。
「ついに僕もスクラップになるのかな」と運命を覚悟していたら、最近来た新しい上司が
こう言ってきた。
「ロボット君、君の状態は仕事にミスを出すかもしれない、だから修理工場へ行きなさい」
この言葉を聞いたこと以外はその後の事は覚えていない。
治療室で身体や心を直した後は、医者からのカウンセリングを続けて僕は
完璧に治った。そして今日は最後のカウンセリングの日である。
ある程度話を終えた後に先生はこういった
「では最後は病気の確認ですまないけど、質問をしますあなたはロボットですか?」
その質問に対して僕はこう答えた。
「いいえ、僕は人間です」
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