たのしく おどろう!

文字数 1,712文字

 マミは5さいのおんなのこ。
 きょうもげんきに スキップをして、たのしそう。
 マミがはいている しろいくつには、みずいろのガラスのまどがついています。これはマジカルシューズ。
 おや、いちまいのかみきれが かぜにふかれてとんできた。マミがくるっとまわってトントンとステップをふむと、マジカルシューズの みずいろのまどがキラリとひかったよ。するとかみきれはピンクいろの はなびらに かわりました。
 そう、マミは まほうつかいの おんなのこ。おかあさんも おねえちゃんも まほうがつかえます。でも、おとうさんは まほうつかいじゃありません。マジカルシューズをはいてダンスをすると、ひとつまほうが つかえるのです。
 まだダンスがうまくおどれないマミは、ちいさなまほうしか つかえません。
それでもマミは まんぞくでした。

 こんどは つよいかぜがふいて、まえをあるいていた おとこのこのぼうしがとんでしまいました。おとこのこは たいせつなぼうしが とんでいってしまい、かなしそうに りょうてをあげています。
「わたしがとってあげる」
マミは くるっとまわってトントンとステップをふみました。しかしかぜでとんでいる このはがはなびらに かわるだけです。
 マミはなんどもステップをふみましたが、このはやかみきれが いろんないろの はなびらになるばかり。そうしているあいだに ぼうしはどんどんとおくに とんでいきます。
 なきべそを かきながらマミはドンドンと じめんをつよくふみます。もうダンスに なっていません。マミは おもわずぼうしをおいかけて、みちにとびだそうとしました。
 「マミ、あぶないよ」
 がっこうからかえってきた おねえちゃんのこえです。
 あわててはしってきた おねえちゃんが てをパンパンとたたくと、はいていた くろいかわぐつが、マジカルシューズにかわりました。
 そしてハンカチを そらになげて、2かいクルクルとまわり、はずむようにステップをふむと、ハンカチは とりのかたちになり、ぼうしをめがけて とんでいきます。とりになったハンカチは ぼうしをくわえて もどってきました。
 おとこのこも、おおよろこび。
 マミはまだ べそを かいています。
「おねえちゃんは、どうして そんなまほうが つかえるの?」
「マミもダンスのれんしゅうをすれば、きっといろんな まほうがつかえるよ」
 それからマミは、おねえちゃんのまねをして まいにち ダンスのれんしゅうをしました。
 
 おてんきのいい にちようび、マミは おがわのちかくにタンポポを とりにきました。
 おや、どこからか こいぬの なきごえがする。 
 きゃん、きゃん。なんだか「たすけて」と いっているみたい。
 マミはなきごえがする ほうにいってみました。たいへんだ、かわにおちた こいぬが、ちいさないしに しがみついています。
 いまにもながされそう。
 まみはまほうをつかって、たすけることにしました。おねえちゃんと れんしゅうしたときのように、てやあしをおおきくふって ステップをふみます。
 しかし、マミのまわりに はながはえてくるだけ。マミはまた べそをかきながら、じめんをドンドンと ふみだしました。
「どうしよう、おねえちゃん」
 でもおねえちゃんはいません。こいぬもきゃん、きゃん ないています。
「そうだ、おねえちゃんは『たのしくおどりなさい』って いっていた」
 マミはおおきく いきをすって、もういちど てやあしを げんきにふって、はずむようにステップをふみます。
 するとちかくの きのえだが みるみるとのびて、てのように なりました。
 きのえだは、やさしく こいぬをつつみ、マミのまえに はこんでくれます。
 びしょぬれになって ふるえている こいぬを マミはだきしめました。ふくがぬれることなんて、きにしません。こいぬも、マミのほっぺたを なめてくれました。
 マミは こいぬを たすけることができて、とてもうれしい きもちだったので、まほうがつかえた うれしさは、わすれていました。
 それにしても、どうして こんなにすごいまほうが つかえたのでしょうか? ちょっと ふしぎですね。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み