1話完結

文字数 730文字

ふん!
我々は常に美しく清潔でいなければ
常に誇りを持っていなければ
重なりあっていたとしてもな

そこの小さくて丸いヤツら
よく出番があるからって
そんなにはしゃぐなよ
たかだか安い庶民じゃないか

そこの中くらいのやや深くて丸いヤツら
それぞれに個性があって
毎日選ばれているからって
偉そうにするなよ
たかだか並みの庶民じゃないか

そこの黒くて艶のあるヤツら
もっと誇れよ
毎日選ばれているじゃないか
お前は高級ななりだろ
素敵な彫りだって持っている
しっかり相方らもいるのは
最近では珍しいぞ

今は夜中だ
我々も休んでおこう
夜が明けるとまた出番が来る
明日こそ俺らも選ばれるぞ!

今日の夕方に俺らは目撃したんだ
楕円の中身が黄色くなるヤツらは
人気のある材料で定番だが
それとは別に
この家の主が好むヤツが買われてきたことを!
ついでに姉というヤツが泊まりにきている!
だから、俺らが選ばれるのは
確実だ!!!

ん?
さっきから偉そうに話している
俺らか?
明日の朝のお楽しみ!
まあ、長くて四角い
緑のなりをしていると言っておこう



 「お父さん、お姉ちゃん、朝ご飯ですよ~。今朝は和食にしてみました。さあ、こっちに来て食べましょう。」
 
 今朝の献立は、炊きたてご飯、白味噌仕立ての豆腐とネギの味噌汁、大根おろしと焼きのり、ナスの浅漬け、卵焼きと焼き鮭、である。

 「あら、綺麗に朝ご飯を設えたのね。焼き魚に長角皿の織部はやっぱりいいわ。蓋付きのお椀だなんて素敵。朝から豪華な気がするわね!ね、お父さん。」
 
 箸置きにおかれた箸とともに、設えられた器たちは畏まりながら、キラリと光った。
 美味しく朝食を召し上がれ。




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