( 鋭 が 知神学派に なった経緯 )

文字数 786文字

     ☆

「ちょっと鋭! いい加減にしてちょうだい?!」
 マーライシャが短気な声で叫びました。
「ここには、ちょっと表敬訪問に寄っただけなのよ?
 長居をする予定なんか無いの!」
「なんだってマーシャ!」
 鋭が憮然として抗議しました。
「こんなに興味深い工程を観て、きみは、もっと知りたくならないとでも?」
「聞き捨てならないわね!? 私に知的好奇心が足りないとでも言うつもりなのかしら?!」
 マーシャは噛みつきました。
「そうじゃなくて! べつに私は技術者になんかなるつもり無いんだから、そこまで詳しく知る必要は無いっていう話!」
「…技術者、『なんか』だって?」
 鋭は、愕然として…非難を込めて…言いました。
「きみは、技術者の皆さんを… バカにしてるの?」
「なぁんですってェ~!? なぜ私が技術者たちをバカにしてるなんて話になるの!?」
 マーライシャはいきり立ちました。
「私はね! むしろ彼らをとても尊敬しているのよ!?」
「じゃあ何で『なる気はない』なんて言うのサ?」
「それはね!」
 マーライシャは偉そう~に、ふんぞり返って、断言しました。
「考えてもごらんなさいよ!
 技術者や博識者というのは、根気と探求心の要る、とてもとても忍耐力の要る職業なのよ!?
 私みたいに短気で癇癪持ちの、すぐに人や物に八つ当たりする乱暴者に、
 そんな仕事が務まる?!」

「…それは… その通りなんだけどさ…」
 鋭はしばし絶句しました。
「なんでそれを、そんなに威張って主張するかねぇ…????」

 技術者と博識者の皆さんは、困惑しまくって、ただひたすらおろおろとしている。

「…あ”~、ま~、も~、…いぃ~から!」
 雄輝が。
 …つくづく、オレはこいつらのばか喧嘩の仲裁に入るのは、うんざりしたぜ!という声で…
 投げやりに、まとめに入りました。

「いーだろマーシャ。こいつもぅ、ここに置いて行こーぜ?」


     ☆

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