プロット

文字数 1,787文字

[起]
とある会社が「人類滅亡」というタイトルのゲームを発売する。それはシュミレーションタイプのゲームで、様々な方法で世界を滅亡させるというものだった。スピード重視で滅ぼしても良し、文明遺産を残して滅ぼしても良し、という自由度の高さ。また滅ぼすまでの様々な実績や残存人類の数値化など、実況をしやすいスタイルのゲームゆえ、ユーチューバーを中心に流行となった。
平凡な中学2年生の少年トモは、好きなユーチューバーがプレイしていたのを見て「人類滅亡」を購入する。最初は操作方法を覚えるために何度も世界を滅ぼし、段々と様々な手段で世界を滅ぼしていく内に、ゲームにはまっていく。クラスメイトの中でも誰よりも高得点で世界を滅ぼせるようになることでクラスでも自慢ができまた羨ましがられて、トモはこのゲームがどんどん好きになっていった。
しかし何度目かの世界で、どんな操作をしても世界が滅ばない。そこで焦ったトモは早く世界を滅ぼすためにチート操作をしようとするが、そこで急に画面と意識がブラックアウトし、トモは意識を失う。

[承]
トモが目を覚ますと、そこはゲームの中の世界だった。中々滅ばなかったとはいえ、戦争中で治安も悪い世界でトモは必死で逃げ回る。その最中で手持ちのスマホでサポートセンターに連絡をし、命を守りながら救援を待つことになる。だが治安の悪いこの世界で、トモはゲリラ兵に襲われ、殺されかける。それを通りすがりの現地人に助けられ、安全な居住区で保護を受ける。トモは現地人の優しさに触れ、この世界を滅ぼそうとしていたということを思い出し、暗い気持ちになる。
少し落ち着いたころ、サポートセンターを名乗るシステムがゲーム内に起動される。トモは現地人から一度離れたところに行き、サポートセンターからこれからの動きを聞く。システムはトモに「ゲームを強制終了させることで、トモは現実世界に戻れる」と告げる。だが現地の人と関わったことで、トモにとってこの世界を「ゲーム」と割り切ることができなくなっていた。トモはなんとか自分だけ元の世界に戻りたいと願う。その時、システムの起動により居住区に住む科学者が駆け付け、世界の真実に気づく。

[転]
実はこのゲームは「架空の世界を滅ぼすゲーム」ではなく、「存在する並行世界を滅ぼす機械」だった。そのためこの世界も、ゲームの世界ではなく、並行世界の実際に存在する世界の一つだった。ゲームというのは、あくまでプレイヤーが平行世界に干渉するための手段だった。科学者は並行世界の存在と、その干渉に気づいており、そのために様々な抵抗をしていた。そのことが結果として、中々世界が滅ばなかった原因だった。
科学者はシステムに、並行世界を攻撃することの理由を尋ねる。その理由は「並行世界の絶滅」と「正しい人類史を自分たちの物にするため」だった。トモの世界でも制作会社を筆頭に、並行世界のことは研究の末明らかになっていた。同時に自分たちの世界が「正しい人類史」として存在するために、他の並行世界を滅ぼす必要があると、政府が結論をつけていた。制作会社は、それらの目的のための手段を提供していただけだった。
科学者はトモに無責任な行動を咎める。幾つもの世界を遊びで滅ぼし、そこに責任感が伴っていなかったことを糾弾する。だがトモは自分自身の失敗を認めることができず、知らなかったからと会社のせいにした。会社は改めて政府の意向として政府の責任にした。科学者はあまりに身勝手で責任逃れをするシステムやトモに絶望する。トモはとにかくこの世界から逃げたくて、元の自分の世界に戻るため、システムの言う通りに「ゲームを強制終了」として、この世界を滅ぼした。

[結]
トモが気づいた時には、自分の部屋にいた。サポートセンターからスマホに連絡が来ており、チート行動の結果として並行世界に入ってしまったことへの厳重注意。そして並行世界でのことや、政府の意向に関しては絶対の秘密にしてほしいという連絡が入っていた。トモは自分の行いを認められず、ゲーム機ごと破壊をする。その後、並行世界も何もかもが夢で現実ではないと思い込もうとする。

それと同時に別の並行世界から、トモの世界が危険思想を持つ世界であると判断されて強制的に滅ぼされる。滅ぼした人間は、学校の授業で危険思想を持つ世界を消すための実習をしている学生だった。
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