文字数 525文字

駅から家まで、とぼとぼ歩いて帰宅中。
午後10時前。
人通りはない。
信号が赤になった。
車はほとんど通らない。だけど信号無視をするほどの元気がなかった。
ぼーっと立って、信号を待つ。
正面にコンビニがあった。明るい。
駐車場が広いから、建物までは少し距離がある。
入口の脇にはクリスマスツリー。
ああ、もうクリスマスか。

視界に入ってはいたが、しっかり見ていたわけではない。
とにかく、ぼーっとしていた。

しかし、何かが動いた。

あれ?
いま動いたのは?
クリスマスツリー?

それほど大きなツリーではなかった。
少し距離があるし、見間違いかもね。

まだ信号は青にならない。
ツリーを、なんとなく視界の中に入れていた。

ツリーは、ぶるん、と動いた。
頭を振るように。
いや、ツリーの頭がどこにあるかはわからないけど、とにかく先端の方が左右に振れて。

え?

今度は、ガン見した。
もぞもぞと、動く、ツリー。
そして、だんだん薄くなっていく。

えええ?

消えていく、ツリー。
目の前で、消えた。

信号は赤のままだ。





あれ?
いま何を見ていたんだっけ?
コンビニが明るい。
なんだか殺風景だ。
妙な気がしたけれど、なにが妙なのか、わからない。

信号が青に変わった。

まあいいか。
さ、早く帰ろう。

え、ツリー?
ツリーって、なんですか?
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