第3話 メールの着信音

文字数 604文字

送信者:rina
件名:Non Title
『腹部のエコー検査が終わりました。お腹にジェルを塗られてぐるぐるされながら、先生の吸って~吐いて~という声と聞いていると、なんだか催眠術にでもかかったみたいに眠くなります。ウトウト(○-v-))ノ』


送信者:rina
件名:Non Title
『建物の端っこにガラスで仕切られたちょっとした喫煙室があって、そこから土手が見えます。暖かい季節ならタンポポやシロツメクサも生えるんだろうなぁ。そこに点滴のスタンドをガラガラと引きながらタバコを吸いに来るおじさんもいます。
 中には止められている人もいるのかも。密告しちゃうぞ。 (。-ω-)y-~』



送信者:rina
件名:Non Title
『明日は家族と先生を交えて、新薬のお話をします。
 どちらにするにしても副作用は免れないからです。
 从´_υ`从ショボーン』


送信者:rina
件名:Non Title
『新薬が決まりました。いずれにせよ使わないわけにはいかないし……
(๑•﹏•)いつやるか?  ლ(ಠ_ಠ ლ)今でしょ!
忙しいんだね。返事は気にしなくていいからね ( ・´ー・`)』

●僕の、いや、僕たちの間違いはここから始まった。メールの着信音を鳴らすスマホの哀れさに、耐えきれなくなったからだ。
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