プロット

文字数 1,572文字

起)桜庭友理奈は、アニメや漫画が大好きな中学2年生。「三次元に興味なし!」が口癖の彼女は、三次元の男の子と恋愛関係になったことがない。そんな彼女には別の顔がある。人気小説投稿サイト『小説島』の恋愛ジャンル部門ランキング第1位を約1年保持し続けている短編連作恋愛小説『恋呼ぶ季節』の作者「恋桜」。恋桜もまた、彼女なのだ。彼女自身は恋愛小説や漫画を読むと、鳥肌が立ってしまう体質なのだが、恋愛小説を妄想で書く能力は一流。そんな彼女が唯一、恋愛ジャンルで読める作品が、同じ投稿サイトで恋愛ジャンル第2位にランクインしている『恋愛には興味ないつもりです』。人とコミュニケーションをとることが苦手な彼女だったがいつか、この作者と話がしてみたいと思っている。

承)そんな順風満帆な人生を送っていそうな彼女だったが、『恋呼ぶ季節』の閲覧数減少の危機に直面していた。深刻なネタ不足に陥っていたのだった。なんとか閲覧数を取り戻したい彼女だったが、彼女の創作の原動力だった『恋愛には興味ないつもりです』が無期限の休載となっており、彼女は失意のどん底にいた。「ああ、私はこれから、何を糧にして生きていけば……? もう、小説書けないよ……」。いっそ、小説をいったん非公開、または休載にしようかと思っていた時、図書館に逃げるように駆け込んできたイケメン、如月和樹と出会う。和樹は、双子の兄如月一馬と間違われ、一馬のファンクラブの女子たちから逃れている最中だった。一馬と和樹。見た目はまったく一緒だが、性格が正反対の二人を見て、友理奈の創作意欲が再燃してくる。「決めた! 今度は双子のイケメンに囲まれ心揺れ動く乙女の話を書こう!!」そう心に決めた彼女だったが、和樹に創作ノートを見られてしまう。

転)「バラされたくなければ、俺と付き合え」そう言われた彼女は、しぶしぶ了承する。「ネタになるかもしれないし」。和樹は、一馬と間違われて告白されるのも、追いかけられるのも嫌だった。そのため、女よけのために彼女が欲しいと思ったのだった。最初は、「ネタのためだ」そう思いながら、和樹と一緒にいた友理奈だったが、一緒に行動しているうちに、和樹のことが好きになってしまう。そんな中、彼女がオタクであり、恋愛経験ゼロの女子中学生であることがばらされてしまう。和樹がばらした犯人だと思った友理奈は、事情を説明せず一方的に別れを告げる。

結)実際に友理奈が「恋桜」の正体だとばらしたのは、一馬のファンクラブの一人だった。一馬に振り向いてもらえないので、和樹に乗り換えようと思っていたところに、和樹に友理奈という彼女ができたため、逆恨みして友理奈の弱点を探していたのだ。友理奈は、彼女が別れを告げた後、なんの音沙汰もなくなってしまった和樹に事情を説明し、よりを戻したいことを伝える。その際、和樹が『恋愛には興味ないつもりですネタ帳』とタイトルの書かれたノートを所持しているのを目撃。友理奈がいつか話をしてみたいと思っていた作者こそ、和樹だったのだ。和樹もまた、『恋呼ぶ季節』の愛読者だった。そして、彼女の作品に影響を受け、彼女を目標として作品を書き始めたことを告白する。図書館で最初に会った際、友理奈が『恋呼ぶ季節』の作者だと知って小説について話したいと思ったものの、彼もまた人と話すことが苦手だったために、「俺と付き合え」という不器用な形でしか、彼女とのつながりの持ち方が分からなかったのだった。彼が大事な小説を休載にしたのは、友理奈と同じく恋愛経験がないためにネタ不足に陥ったのと、自分なんかがランキングに載っていていいのか不安になったためだった。お互いの正体や苦労を知った二人は、ますますいい作品を作るべく、またお互いの気持ちに正直になって、今度こそ正式にお付き合いを始めることにしたのだった。
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