雨と飴

文字数 522文字

 今日は晴れである。
 配達員から奪い去った朝刊に書いてあったのだから。
 かかわらず雨であった。タンクをぶち壊したのか、どしゃ降りに嫌悪感が募る。丁度交通会館の店先に匿っていたから良かったものの、見上げると晴れていた。
 朝刊通りである。
 狐を根絶やそうと客のいない看板を蹴る。此の小心者め、機関銃を山々に一斉掃射しろ。雑草の塊など銃刀法違反如きに引っ掛かるものか。闇市でも売り捌け、博打を積めるだけの金は出る。
 札束を抱えた天邪鬼が吐きたてる。
 苛立つ傘を他所に雨は落ちていく。ぽつぽつ、ほつほつと。稀に荒れ、聖者ノ行進は突き刺し、散る。
 乗り上げた津波は革靴に包容を求める辺り、前世は風呂の残り湯だったのだろう。目を瞑ったばかりに流されてしまうとは、何とも滑稽というか、少々悲観しやすい。
  雨粒という者は素晴らしい。
 封建主義に捕らわれた忍者者共ではなく、得たいの知れない疑似愛国心を掲げる在日外国人からなるSINOBIに近しい庶民的表現。
 青々と透き通った、角付きの感じられない愛らしい美しさ。剥がれ落ちる汚物と脱皮、転がり抱き着く小動物。
 嗚呼、良い女。溶け切る迄嘗め回してやりたい。物足りない焦燥に恋い焦がれる。
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