第2話

文字数 1,442文字

しばらくして目覚めた雷太は、飛び起きて急いで午後からの仕事に取り掛かりました。
俺が昼寝なんかするとは。年をとったもんだ。
昼寝した分を取り戻すように、鍬を振り上げまくっていた時、コツッと音がして鍬に何か固い物があたったのです。手で掘り返してみると、長さ
10㎝くらい幅が2㎝くらい厚さ1㎝程の白い棒が出て来ました。
なんだこれは。
雷太が棒に付いた土を払うと、ただの棒ではなく片方の先が斜めに尖っているようです。
何処かでみたようなものだな。
雷太がそれをしばらく眺め回していると!
これは、イチじゃないか数字の1みたいだ。
なんだこれ?だったら2や3もあるのか。
雷太がそこらじゅうを掘り起こすと、次から次に1が出てきました。
なんだみんな同じ物じゃないか。
木なら焚き木にでもなりそうだが、木ではなさそうだしな。
こんな物は見たことがない。いったいなんなんだ。なんで俺の畑からこんなもんが出てくるんだ。
掘り出した物を集め、数えて見ると24個ありました。この俺が見た事ないと言う事は、誰も見た事がないに違いない。
雷太は常に自分中心の考えの持ち主です。
もしかして、お宝かもしれないと言う気持ちが
フツフツとわいて来ました。
誰かに見られていないか、周りをキョロキョロ
しながら、泥だらけの布袋にいそいで押し込めました。
家に持って帰って来た雷太は、1つ1つきれいに磨き、それを全部ブリキの缶にいれました。
改めて、1を見てみたけれど特に輝いている訳でもなく、良い匂いがする訳でもなく、食べられる訳ではもちろんなく、、、お宝?なのかどうか
わからないまま、その夜は枕元にブリキ缶を置いて寝ました。

翌日、雷太はまだ寝ていたいと言う気持ちが起こらずに、いつもの時間に起きる事ができました。
今日は体が軽いな。眠気がないな。
畑へ行く前に、なぜか心配になりブリキ缶の中を数えてみました。すると23個しかないではないですか。
昨日は24個確かにあった。3回も数えたはずだ。
いや、やっぱり数え間違いか。
不思議に思いながら、納得がいかないまま畑へ向かいました。
その夜、寝る前にまた数えなおし、今度は紙にその数字を書いてブリキ缶に一緒に入れました。
次の日の朝、また眠たい気持ちもなく起きる事が出来ました。なんだか最近体調が急によくなってきたようだ。
嬉しい気分でブリキ缶の中を数えると!22個しかありません。また減っている!紙には23個と書いてあるのに。
雷太は次の日も次の日も同じ事を繰り返し、とうとう、17個になってしまいました。
体は調子がよいのに、缶の中からどんどん1がなくなっていく。
いつも、後1時間寝ていられたら楽なのに、
と思う気持ちがいまは全くない、、、、
後1時間、、、後1時間、、、今は眠くもない、、、、
これは、時間の1なのか?俺が朝、1時間分寝ているから、どんどん無くなっていくのか?
そう考えれば、つじつまがあう、、
そんなバカな事が、、、、、、
いや、そうだ。これは時間だ時間に違いない。
俺は時間を掘り当てたんだ!これはお宝だ!
誰でも時間は持ってるが、俺が手に持っているこの時間はオレだけのものだ。
ようやく俺にも運がまわって来たぞ。
雷太は次の日から、畑を掘りまくりました。
土を深く掘ってみると、土の奥から奥からドンドン時間が出てきます。
なんで今まで気がつかなかったんだ。
いや、これからでも充分取り戻せる。
この時間を売って売って売りまくるぞ!
1日24時間じゃ足りない奴らが沢山いるはずだ。
雷太の口が、裂けそうな程ニンマリしていました。
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