第１話

描(えが)いて　想像して
パレットに絵の具をしぼり出して
どんな景色を描こう？　どんな色を使おう？
さあ　筆をとって　真っ白な世界に飛び込んで
まだ誰も見たことのない　ホンモノを求めて

探して　見つけて
ここにいるよ　自らの手で染めた旗をふる
どこに行けばいい？　どんな道を歩いてる？
わからなくて　もがいて　くらくらする
何度つかもうとしても　するりとむなしく消えていく
もう　疲れちゃった
進んでいた筆も止まって　あるときぽっきり粉々になった

遠いキミは輝いていて　どんなときでもまぶしかった
嬉しいはずなのに寂しくて
素直に笑顔になれなかった

痛くて　苦しくて
描いたすべてを塗りつぶした
嫌だ　やめて　見たくない
お願い　私の心を乱さないで
耳をふさいで　まぶたを閉じて
こぼれるしずくが絵の具をとかす

ふ、と視線をうつしてみると　キミがそばで息を切らしてた
どうしてキミがここにいるの？　こんなところにいるはずないのに
キミもどこかで苦しんでいて　ひとりで黙々と走ってた
震える足で踏ん張って　流れる汗をぬぐってた

……遠くにいると思ってた
会いたいけど　私じゃ辿り着けないかなって思ってた
でも　ずっとそばにいたんだね
遠いところにいても　同じ空の下(もと)にいる
私を知らないキミだけど　きっと心のどこかで知っている
やっと会えたそのときは　笑顔、見せてくれるかな

想って　愛して
からっぽの箱(むね)からあふれ出てくる
どうしてこんなにあったかい？　こんなに私は強かった？
さあ　胸を張って　もう一度キャンバスを立てかけよう
今度は自由に思いっきり　はみ出したってかまわない
だってこんなに大好きで　あふれて　あふれて　しかたない
もう誰にも負けない　イトオシサを抱きしめて

描いて　想像して
辿り着いたその先に　キミがいると信じてる