第2話

文字数 1,048文字

次募集馬のラインナップでは馬格も小さく募集開始後数ヶ月が経ってもまだ売れ残っていたブーケドロゼブルーの21。兄弟達もそれほど目立った活躍馬がいない。しかし私はこの馬の血統表を見てある名馬の思い出が蘇ってきた。
 このブーケドロゼブルー、実はコスモバルクの妹なのだ。

コスモバルク

 2003年、当時私は19歳だった。俊と同じ専門学校に通ってたその年の年末の2歳重賞レース「ラジオたんば杯2歳ステークス」にコスモバルクは出走した。地方競馬のホッカイドウ競馬に所属の馬、そんな馬がJRAの重賞レースに出走するのは珍しい事だ。そこでコスモバルクは並み居る良血馬を抑えてまんまと逃げ切って優勝する。
 当時の地方競馬は経営不振の競馬場が多く、幾つかの競馬場が立て続けに廃止になる厳しい時代。そんな時代背景も相まって地方競馬ファンの私はコスモバルクのファンになった。
(地方競馬を救うヒーローかも知れない)
そんな気がするスターホースだと思った。

 コスモバルクはその後皐月賞のトライアルレース弥生賞も優勝し一躍クラシックの有力候補に。
そしてホッカイドウ競馬所属のままクラシックレース皐月賞へ。ここはダイワメジャーの2着に敗れたものの地方馬としては初の連対。そして日本ダービー、菊花賞にも出走。
 古馬になってからも果敢にJRAの強豪馬達に挑み続け、遂にシンガポールのG1レースで優勝、地方所属馬として初の海外G1制覇を成し遂げた。決して良血とはいえない血統の馬が一流馬相手に互角に走る姿がカッコよかった。今でも深く印象に残る馬だ。
 現役引退後は残念ながら種牡馬になれずその血は途絶えたとばかり思っていた。

 ところが今、目の前にあるカタログにコスモバルクと同じ血が流れている馬が載っている。

それがブーケドロゼブルーの21

熱烈に応援していた馬の甥、血縁関係でいうとちょっと遠いがそれでもこの馬にすごくロマンを感じた。
(こういう馬に夢を託すのもいいかもしれない)
こうしてブーケドロゼブルーの21に出資することに。そして俊にLINEを送る。
「ブーケドロゼブルーの21に出資しました。学生時代の友人の君がYGGに入会し、それがきっかけで学生時代熱烈に応援していたコスモバルクの甥に出資する··このタイミングに縁とロマンを勝手に感じました。この馬が走らなかったら責任とってねw」
冗談を交えて送信。しばらくして返信が。
「競馬はロマン、だから一口馬主もロマンを追い求めて出資するのも一つの醍醐味やね。いつか俺に感謝する日がくるかもよw」

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