第1話 癒し系 はじめました ①
文字数 2,407文字
俺の席の横に立つ女子高生が唐突に口走った。
長い黒髪に、切れの長い眉、気の強そうな目つき。白い透明な肌にスラリとした長身と、見事なスタイル。非の打ちどころのない美女の名は『氷雨(ひさめ)涼子(りょうこ)』子供のころからの長い腐れ縁だ。
涼子は空いている隣の席に座ると、じー、とこちらを見て待機していた
笑顔で柔らかな物言いだった。
拒否権なし。まだ開けてない弁当箱を静かに鞄にしまう。
拒否権なし。まだ開けてない弁当箱を静かに鞄にしまう。
涼子はポケットから携帯を取り出し画面をみせてくる。
なるほど、時代の流行りに乗りたいという乙女心だろう
画面の内容は『今、癒し系女子が熱い! 時代はキュートから癒しだ!』なんていう特集記事が組まれたサイトの画像だ。
なるほど、時代の流行りに乗りたいという乙女心だろう
涼子の目が鋭く俺を見据える。
ネットで調べたら? と伝えたら絶対怒るに決まってる。何か涼子が納得できるような回答を考えなければ。
聞くな、と無言のプレッシャーを与えてきている。
ネットで調べたら? と伝えたら絶対怒るに決まってる。何か涼子が納得できるような回答を考えなければ。
花垣(はながき)花憐(かれん)という同じ一年生の女子。
男女問わず人気で、一緒に居ても心安らぐ。正に癒し系の代表選手と言っても過言ではない。
絶句
癒し系・・・・・・というより、威圧系?
いやいやいや! 全然違う! 全くの正反対。対極の位置ですから!
涼子は長身でモデルのような体型で、可愛いというより、カッコいいの表現が適している。
表情は大体氷のように無表情。クールビューティーという言葉がぴったりの女性だ。
涼子は長身でモデルのような体型で、可愛いというより、カッコいいの表現が適している。
表情は大体氷のように無表情。クールビューティーという言葉がぴったりの女性だ。
これは苦しい。
ちくしょー! 全員考える事同じかよ!
どうする? テストの問題よりも難しいぞこれ。
それが花憐さんみたいな人なんだよ!
周囲の人間に助けを求めるように視線を送る。だが、目を合わせると直ぐにそらされる。
涼子のイライラが募ってきたのか、頬杖をついて机を指で何度もトントン、と叩いていた。
涼子の眼に力がこもる。
怖い。もはやここまでくると尋問である。
怖い。もはやここまでくると尋問である。
自分で何を言ってるのか分からなくなってきた。
ただ、涼子を納得させるためだけの嘘をついてしまう。
我ながらこんな出鱈目な意見、流石に聞くわけがない。
我ながらこんな出鱈目な意見、流石に聞くわけがない。
驚きすぎて声が出てしまう。
自問自答して完全に納得している様子の涼子。それ、完全に誤解だぞ。
正しいかどうかは置いておいて、納得してもらえるなら良かった。
正しいかどうかは置いておいて、納得してもらえるなら良かった。
味気ない返事の涼子。
ちなみに、涼子とは幼いころから好きではあるが、恋人関係ではない。友達である。
進展の期待の意味も兼ねて、これは期待せざるを得ない。
何だこの展開は? 誤解に誤解が重なって奇跡が生まれたぞ。
ちなみに、涼子とは幼いころから好きではあるが、恋人関係ではない。友達である。
進展の期待の意味も兼ねて、これは期待せざるを得ない。
to be continued