(三)

文字数 245文字

 一ヶ月後、益田はいつもの通り、通所者のお迎えを終え、事務所に戻ってきた。
 事務所に入ると入口にゴルフバッグが置かれていた。この事務所や職員にゴルフをする人間はいなかった。だから、これはこの日から来るはずであった、厚生省を退官した元国家公務員のものであるとピンときた。そして事務所の奥へ目を向けた。
 狭い事務所の奥にはデスクが一つ増えていた。益田の席の前で、経理の吉見さんの向かいだった。そこには背広姿の男性が座っていた。益田はその男性の後ろを通り、自分の席に向かいながら、言った。

(続く)
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