今日の私~昼の部~

文字数 1,241文字

お昼ご飯の買い出しのために、歩いてスーパーに行った。毎日お昼に何作るのかを考えることは、結構面倒だったけれど、自分の分だけなので気ままに食べたいものを作ることが多かった。もし私に家族がいたら、しっかり主食・主菜・副菜・汁物なんて考えないといけないから大変だっただろうなって、子供を連れて買い物するお母さんを見ながら勝手に想像していた。家に帰って、独りぼっちでお昼を作り、食べた。美味しいけれど、どこか満たされない気持ちがして、またチョコを食べた。
そんな今の私の一番の癒しは、韓国のアイドルを見ることで、お昼休憩には、自然とYouTubeで動画を見るようになった。動画は、派手な舞台パフォーマンスから、彼らの日常生活を映したものまで様々で、数えきれない程あった。色々な動画を見ては、彼らも私と同じようにまだ子供っぽい一面もあるのだなと安心したり、逆に、私とは住む世界違う遠い存在に思えて寂しくなったり、自分の中の色々な感情を体験していた。私と同い年くらいだけれど、カリスマ性あふれ、世界中の人を魅了している姿は、本当に尊敬するしかなかった。彼らが積み上げてきた何十年もの努力を想像したら、「羨ましい。」なんておこがましくて言ってはいけないとわかっていたけれど、やっぱりすごく羨ましかった。たくさんの人に注目されたいからっていうわけではなくて、単純にやりたいことがあって、それを叶えるために努力して、努力して、努力して、夢を掴んで、たくさんの人に元気と幸せを届けて、眩しいくらいに輝いている姿が、今の私が一番欲しい物だった。
社会人に3年目になる私は、夢を持つことも、これからやりたいことを見つけることも、社会に慣れて型にはまればはまるほどに、難しくなっている気がしていて、将来に希望を見出せていなかった。小さい頃に憧れた仕事も、実際やってみて想像と違ったり、体力的に厳しかったりと、思い描いていた人生には近づけていない。ご縁があって働かせてもらっている会社で仕事をしながらも、この先の目標が見つからないまま、まるでセミの抜け殻みたいに空っぽで、何の張り合いもなく毎日をただ過ごしている感覚だった。だから、学生時代を思い出しては、社会のことなんて何も知らなかったけれど、希望にあふれて、真っ直ぐ前だけを見て進んでいた頃が、ほんとに懐かしくて、愛おしいと思わずにはいられなかった。あの時もっとこうしていたら良かったなって後悔することもあるけれど、当時の私にとっては常に最善の選択をしながら今まで進んできたと思ったりもしていた。結局、今の自分があるのは、過去の自分の選択の積み重ねだと、しみじみと痛感していた。
いつになったら、今までの自分の選択が正しかったって思えるようになるのだろうか。5年後、10年後?そのころにはやりたいこと見つかり、多くの人の役に立って、イキイキと暮らせているだろうか。韓国アイドルの動画を見る度に、癒されながらも、自分が情けなくて、少しずつモヤモヤが溜まっていった。
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