第1話

文字数 1,151文字

目の前で自転車に乗っていた人が転んだ。

僕は耳に無線接続のイヤホンをつけていたから、音は聞こえていなく目の前で起こったことがあまり現実感がなかった。

「信号が青に変わった」

これぐらいの感じだ。ただ目の前の出来事を知覚しただけ。
それでもやはり自転車に乗っている人が、急に倒れるのは自然ではないと思い転んだ人をよく見てみたら車道と歩道の段差で転んでいた。

あー、あの段差は厄介だよね。
自転車には専用のレーンがない。都内や限られた場所には自転車用のレーンがあるがそれがあるのは一部の道路で、自電車移動では必ず専用でないレーンを通る必要が出てくる。

車・歩行者のレーンを開いているスペースを見つけて走ることになるので車道と歩道の配慮して空気を読んでレーンの変更することが求めらる。

角度が重要なんだ。車輪と段差の角度が少ないとタイヤが滑ってしまい勢いが削られ乗り越えようとする自分の体だけが投げ出さられる。

目の前で転んだ人のちょうどそんな風だった。池袋の方面に進む明治通り沿いの道路、ジュンク堂がある少し手前だ。車線が多い通りだからか、工事で新しためか自転車専用レーンもある。

彼女(顔は見ていないから幾つぐらいかは分からないが、電動のママチャリだったので成人はしているだろう)は、自転車レーンを走行中先の信号で赤のため止まってる車の隙間がないと判断し歩道に乗り上げた。

最初に自転車、次に体、勢い殺せずもう一度体。彼女との距離的に進行方向的もに第一発見者は自分だが、知らんぷりをした。あいつは知っているのに何もしなかったんだとバレるぐらい距離を通って通り過ぎた。

なんで自分は「大丈夫ですか」と声をかけなかったのだろう。
これは人してどうあるべきだったか反省したいわけではない。
この時の答えは、声をかけて相手を心配するそれは知っている。
疑問に思っているのは、答えを知っていることを実行することがどうしてできなかったということである。

言い訳ならできる。自分が声をかけて心配しても何を解決しなかったからだ。
なぜなら彼女の怪我を治すための医療グッズ、ハンカチ・ティシュすら持っていない。
私が大丈夫ですと答えが返ってくる事を知っていて大丈夫ですか心配し、大丈夫ですと返ってくると期待していると知っていて大丈夫ですと彼女が答える。
彼女の心理的ダメージを考えると、誰かに話しかけられて人の注目を集めるより視線を外して嘘でも誰にもみられなかっとした方がいいはずですら思う。

知っていることができない、もし自分が考える前に彼女に大丈夫ですかと声かけていたら答えに近づけたのだろうか。いやそもそもそれができていたらこんなことも考えていない。

何も答えが出ないまま、交差点の赤信号待って青に変わる。
車道を見ていても、電動付きママチャリは通らなかった。
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