働かなくちゃだめ?

文字数 2,674文字

人はないものねだりなんだと思う。
働くなと言われれば働きたいし、
働けと言われれば働きたくない、というような。

私は世の中的にはバリバリ働いているほうのジャンルに属していると思う。
そして、周りにも社内外問わず、男性顔負けに正社員で働いている女性が多い。
働き方についてもよく話すが、
働きたくて働いている、という女性にはあまりお目にかからない。
自分も含め…。

家の事、育児の事、大変大変と愚痴ったあと、
働かなくて済めば、働きたくなんかないですよね〜と締め括るのが常。

そうなると働きたくて働きたくてたまらずに働いている女性っていったいどれくらいいるんだろうと疑問が湧く。
もちろん、働きたいなら働いたほうがいい。
働く権利はあっていい。
でも、女性にも働かせろ~と、誰かが声高に言ったおかげで、
もしかしたら、女性はみんな男女平等に働きたいと思われているのではないか、
そして、働きたくて働いていると誤解されているのではないか、と不安になる。
本当は違う。特に才能もない我々一般女性、その中でも特に子育て世代は困っている。
女性も社会へ出て働かなきゃだめなの?と。

そして、思う。
男性はどう考えているんだろう。
男性こそ働かないという選択肢はまだほぼない。
男性にだって三食昼寝付き志願者がいると思う。
まず、これこそ男女不平等なのに、今や子育ても同じようにするべきと強いられている。
本音は子育て含め、家事全般を女性に任せたいのでは?
でもそんなことを口にしようものなら間違いなく非難ごうごう。
男性から言うのはご法度だ。
選択権が女性側にだけあるような風潮にさえなっている。

同じにすること、させることが平等という定義ではない、と遠い昔の学生時代に習った記憶がある。
確か福祉の授業だったと思う。
個性がある。個人差がある。得手不得手がある。
向き不向き、好き嫌い、そういうのを平らにして同じは無理が生じる。
だから個々に合わせて分量を変える。つまり同じじゃないことこそ平等だと。
目からうろこだった。

ということで考えれば、そもそも出産機能は女性にだけあるので、なんでも同じっていうのは、やはり無理でしょう?と思う。
出産してるしていないに関わらずその機能がいろいろ厄介な生理現象を起こす。
だから、本来は働かなくてもいいよ、と大事にされていいとさえ思うのに、
働きたいと言ったのは女性側だというから驚きだ。

女性には母性も存在するし、なんだかんだ言ってすぐ子供もママがいいと言う。
その中で平等に子育てに関わろうとしている男性はえらいと思うし、
子供が泣くのを振り切って働くママも本当にえらい。
男女が平等に働くというのは実はどちらにも居心地が悪い状態なのではないか。
一部の女性を除いては。

むしろ、男性のサラリーの基準がもっともっと高かったら、いろいろうまくいくのではないか?とも思う。
そうなれば、女性はゆったり子育てし、家事をしながら、習い事なんかしたりして。
まことに平和である。
もちろん女性にも感謝していただき、レディーファーストを忘れずに、は大前提。
働くことが女性の地位の向上というが、むしろ働かずしてでんとできていたら、そのほうが格上ともいえる。
そして、男性も収入さえ高ければ、肩身が狭くなることもない。

とか、そんな風に発言すると、女性の役割が出産・子育てだけみたいなことを言っているととられてしまい、今の時代では叱られるかもしれない。
事実、女性は気が利くし仕事の能力だって高い。
なので、言い方を変えて「たまたま性別=女に生まれて、出産することになった人」は、
子育てしてていいよね~働かなくていいよね~という選択肢を優先するのありにしてほしいと願う。
永田町辺りからも、男女平等に働きたいんでしょ?という声が聞こえて来そうだが、
中途半端に働きやすくされて、働くのがむしろ当たり前みたいになっていることを不満に思っている女性もたくさんいることを知って欲しい。
働けてしまえている女性ほど、この状況を喜んでいない傾向にあるのだから…。
繰り返しになるが、女性がみんな働きたいみたいに言った人、ほんとに誰?

私たちはお金のために渋々働いているんだよ?

そして、幸か不幸か、女性たちがバリバリ働いた結果として、離婚しやすくなっている。
私の勤務先の女性の多くは収入も男性並みなので離婚している人がかなり多い。
世の中的には、離婚したくても金銭的に不安で離婚できない女性もいるわけだから、
嫌々でもなんでもとにかく働いていたことで、離婚したいときに離婚できるという自由を手に入れられたのは喜ばしいことなのかもしれない。
躊躇なく離婚している同僚がそれを証明している。
だが、見方によっては、金銭的に困らないとなると男性と一緒にいる意味が根本的に薄れ、
些細な理由でも離婚願望が高まってしまった故の安易な結婚制度崩壊であり、
社会全体には悲しい傾向とも思える。

家事を合理的に分担できている今どきのご家庭なら心配ないかもしれないけれど、
古来の日本のスタイルのまま、女性の家事の比重が高い場合は単純に、
離婚すると夫1人分家事が減って楽ち~んというだけになってしまう。
収入のある女性は困るところがひとつもないのである。無敵だ。

実は、何を隠そう、私も家から離れ現在別居中。
逆単身赴任という形の、円満別居となっている。
とは言いつつも、田舎に残された夫がご近所からどんなふうに見られているのかも想像している。
男性の単身赴任は当たり前だが、女性となるとまだ珍しい。
世間様からしたら、働くにしてもそこまではやりすぎという見方が大半だろうから、よく思われていないのは察している。
本当に中途半端な男女平等…。

ただし、我が家の場合は夫の自業自得なので仕方がない。
専業主婦志望だった私に、結婚当初、働かざる者食うべからずと言ったのは夫だ。
その結果である。
コロナ禍、収入が減少している中での単身赴任は、むしろ無駄な出費を生んでいるだけ説もあるが、
私はこの気楽極まりない暮らしを手放す気はない、今のところ。夫よ、ごめん。

いっそのこと同僚たちのように離婚しても同じかもしれないと思うときもあるが、
二十歳にもなる息子が、離婚は許さない、その時は泣いて止めると冗談ぽく言う。
でもこれこそが子供たちの本音なんだろうと思う。

もし我が家が夫のサラリーだけで悠々自適に暮らせていたら、
夫に感謝し、別居することもなく、田舎暮らししか知らない私だったかもしれない。
そして時折、私だって働きたい、男女不平等だ~などと愚痴をこぼしていたかもしれない。

やはり、人はないものねだりなんだと思う。

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