第1話

文字数 688文字

「ペテルブルグにおけるある村人の日記」(概訳)

我々村人は、具体的な目的をもってペテルブルグに行く人が殆どいなく、大体「いきなり」と衝動的に行く人が多いでしょう。あっちこっち突っ込んだりし、結局何の為に来ていたのか分からないで終わるものです。私も「何の為にペテルブルグに行くのか?」と自分に初めて問いかけたのは列車に乗ってからのタイミングでした。
実は、離れようとした同村の連中も同じ列車に乗っていて、「ああ、お前も一緒か?」と嘲るような挨拶をされた。止む無くつき合い続けたものの、この連中のコネのお陰でペテルブルグでの暮らしがなんとなく充実したものとなった。社交界まわり、諸々のパートタイム、妙な経験等大都会でしか味わえない良し悪しの時期でした。(320ページに渡ってその詳細描写)
最後に全ての人間を「野獣」と「泡取り」に分類する分析が挙げられている。前者は、無言で、ルールを無視し、無限のリスクをするもので、後者は、人生をエンジョイするパタンで、ゆっくりした「哲学者」パタン。

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こういったサルティコフ・シェドリンによる分類には、個人的にある程度の違和感を抱きます。時期、雰囲気、事情によって同じ人が「野獣」になったり、「泡取」になったりする事があるでしょう。但し、それは「人間のパタン」ではなく、「振る舞いのパタン」として考えれば納得行きます。
それに、執筆スタイルとしては、ほぼ同じ時代のグル作家レフ・トルストイと似ている所がかなり多いです。フランス語の引用、アクションがしょっちゅう哲学的な「考え込み」に離れがちな事、目に見えない微かなヒュモア等が感じられています。
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