第1話

文字数 1,574文字

 アンナは、やさしいまほうつかいのパパ、ママとくらすおんなのこです。
 でもアンナは、とてもおとなしくて、おともだちがいないおんなのこでした。
 そんなアンナをしんぱいした、パパとママは、まほうのくにから、いっぴきのねこをよび、アンナのおともだちにしました。

 ちいさくて、まっしろ、めのいろはあお。ふわふわのけをしたねこです。
 アンナをみて、「にゃあ」となきました。

「うわ、かわいい」

 アンナは、とてもよろこびました。
 パパがいいます。

「アンナ、すきな、おなまえをつけてあげなさい」

「おなまえ? わたしがすきな、おなまえ?」

 そして、ママもいいました。

「ええ、アンナがおなまえをつけてあげたら、このねこは、まほうのちからでしゃべることができるのよ」

 と、おしえてくれました。

「わたしのおともだち? パパ、ママ、ありがとう! ええっと、おなまえは……」

 アンナはいっしょうけんめい、ねこのおなまえをかんがえました。
 そして、ねこに「エミリー」というおなまえをつけました。

「ねこさん、わたしはアンナ。あなたのおなまえはエミリーよ」

「はい、わたしはエミリー、アンナのおともだちよ」

 なまえをつけてもらったねこのエミリーは、まほうのちからでアンナとだけ、
 おしゃべりすることができるようになりました。
 こうしてアンナには、はじめてのおともだちができました。

 それから、アンナとエミリーはおうちでずっといっしょにいました。
 あさいっしょにおきて、いっしょにごはんをたべて、いっしょにあそんで、よるは、いっしょにねる。ずっとずっと、いっしょでした。
 おとなしかったアンナは、エミリーといっぱいおしゃべりするようになりました。
 いっぱいわらうようになりました。

 てんきがよいひは、パパとママ、アンナとエミリーはおでかけもしました。
 アンナはだいすきなパパとママ、そしておともだちのエミリーといっしょなので、
 とてもたのしくすごしました。

 そんなあるひ、アンナのおとなりのおうちにあたらしいひとたちががひっこしてきました。おひっこしのあいさつにきたのは、さんにんでした。

 かわいいおんなのこと、おんなのこのパパとママでした。
 でもアンナは、しらないひとたちがすこしこわくて、パパとママのうしろにかくれていました。

 するとアンナといっしょにいたねこのエミリーが、いきなりはしりだし、しらないおんなのこのあしもとでとまりました。
 アンナはびっくりして、おおきなこえで、エミリーをよびました。

「エミリー!」

 するとおんなのこがわらって、

「は~い!」

 とおおきなこえでおへんじをしました。

 なんで、しらないおんなのこが、おへんじをしたの?
 またもびっくりしたアンナは、おんなのことエミリーのところまで、いそいでかけよりました。
 にこにこわらうおんなのこがきいてきます。

「あなたのねこちゃん?」

 いつもエミリーとはなしているアンナは、なんとかおへんじをすることができました。

「は、はい。わたしはアンナ。このこはおともだちのエミリーです」

「うふふ、わたしもエミリーなの、よろしくね」

「え?」

 なんと! おんなのこもエミリーというおなまえだったのです。
 おんなのこはエミリーをみて、そしてアンナをみつめました。

「ねぇ、アンナ。これからはわたしもあなたのおともだちにしてくれる?」

 ここでねこのエミリーが「にゃあ」となきました。
 なぜかエミリーはしゃべりませんでした。
 でも、ゆうきをだしてと、アンナへいっているきがしました。

「は、はい! こちらこそおともだちになってください」

 こうしてアンナともうひとりのエミリーもおともだちになりました。

 ねこのエミリーは、はじめてのおともだちになってくれただけではありませんでした。
 あたらしいおともだちをつくるおてつだいもしてくれたのでした。
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