第3話 真似できない成功例・鹿島アントラーズ

文字数 859文字

 とはいえ、日本にもJクラブで常勝チームがある。鹿島アントラーズだ。アントラーズはブラジルスタイルのボックス型の中盤による4-4-2(4-2-2-2)を貫き、J発足から常に優勝争いをしている。こんなチームは国内にはほかにない。

 勝利に徹底してこだわり、各ポジションの選手が役割を果たす。これは、鹿島の源流・ジーコが持ち込んだチームのスタイルで、今も継続されている。

 背番号付きのポジション代替わりもある。右サイドバックの座は背番号2とともにジョルジーニョ、名良橋晃、内田篤人と引き継がれている。センターバックは背番号3で、秋田豊、岩政大樹、昌子源。背番号8は小笠原満男、野沢拓也、土居聖真だ。
 鹿島のスカウトは評価が高いが、その一端として「どんなチームを作るか」「そのためにどんな選手が必要か」という基準がはっきりしていることにある。恐らくスカウト陣は、内田を見て「奈良橋がピークを過ぎたら次はこいつだな」と思っただろうし、昌子源にオファーを出したのも「秋田、岩政の系譜の新人にふさわしい」という理由からだろう。

 鹿島の場合、土地柄として地方なので東京や大阪のクラブのようにユースチームに多くの少年を引き込むことが難しい。だからこそ、高卒や大卒の新人を獲得し、早くからレギュラーで使う。そうやって世代交代して常に強者を保ってきた。
 では、日本サッカーすべてが鹿島アントラーズを目指せばいいのか?
 それは違う。なぜなら、アントラーズの最前線、4-4-2の「2」はブラジル人選手頼みのことが多いからだ。
 ジーコや元監督たちのコネもあり、優秀なブラジル出身FWがいてこそ、鹿島のサッカーは完結するのだ。彼らがいるからゴールが決まる。今までにも鹿島には優秀な日本人FWが主に高卒で入ってきた。鈴木隆行、柳沢敦、大迫勇也……。しかし、今あげた三人が全員日本代表で「決定力不足」と言われてしまったのは皮肉なことだ。

 鹿島アントラーズは、特殊なクラブだからこそできる一つの理想の形を作っているのだ。
(続く)
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