プロット

文字数 1,360文字

起)飯田莉子(いいだりこ)は、Vチューバーグループの『スターダスト!』のU助(ゆうすけ)が推しの、ごく普通の中学一年生。雑貨屋さんなどで売られているU助のグッズを集めるのが趣味。ある日、あふれる想いをしたためたファンレターを、事務所あてに送る。莉子は、羊毛フェルトが趣味で、様々な夢かわいい生き物を羊毛フェルトで作り出しては、SNSアカウントで投稿している。連絡は来ないだろうと思いつつ、自身のSNSアカウント名を添えてファンレターを送ると、数日後U助の個人SNSアカウントからダイレクトメールが届く。メールの内容は、一人で羊毛フェルト作品を持って待ち合わせ場所に来ること、とのことだった。

承)これは、出会い系サギというやつなのではと怪しむ莉子。しかし、アカウントは間違いなく、U助の公式マークがついたSNSアカウント。こわごわ、しかし少し期待を持って彼女は待ち合わせ場所に行く。すると、そこに現れたのは、Vチューバーのイラストに近い服装をしたイケメンだった。U助のイラストは、カチッとしたスーツを着たクール系のイメージのもの。イメージ通りだと喜ぶ莉子。しかし、羊毛フェルトの作品を見て、顔をほころばせ、喫茶店でパフェを頼み、楽しそうに写真を撮るU助を見て、少し違和感を持つ。U助は、「本当は自分は甘いもの大好きだし、夢かわいいものが大好きで部屋にもたくさん、かわいいものがある。けれど、イメージがあるから、キャラ的に隠してきた」と言う。「夢かわいいもの好きとして、もっとかわいいものを見せてほしい」と、彼は別の鍵アカウントを見せてくる。それは、U助とはおおよそ分からないような、女子高生のような夢かわいいアカウントだった。莉子は少しショックと、動揺が隠しきれていなかったものの、U助とつながれると思い、彼の鍵アカウントをフォローする。

転)U助とメールをしたり、実際にお忍びで夢かわいい店を回っているうち、推しではなく、一人の人間として好きになり始める莉子。けれど、ファンとして超えてはいけない一線であると自覚していて、そして自分とU助は、かわいいもの好き仲間でしかないと分かっている彼女は、言い出せない。そんな中、U助の鍵アカウントが、U助のものであると拡散されてしまう。「こんな人だと思わなかった。推してた時間、返してほしい」。ネットは大炎上する。

結)U助に連絡を取り、会う約束を取り付ける莉子。U助は、やっぱりみんなを裏切って申し訳ない、グループを脱退すると言うが、莉子が説得する。「私もU助くんを推してました。そして、あなたの好きなものを知ったあとも、推しています。これからも推します。だから、やめないでください」。どうしてもやめてしまうなら、私と付き合ってください。そう伝えると、U助は、泣いているような、笑っているような顔で言った。「莉子ちゃんとは付き合いたいけど、やっぱりオレは、Vチューバーの仕事が好き。推し続けてくれる人のために、頑張る」。グループのメンバーも、自分たちは前からU助の好きなもののことは知っていたと公表し、「自分たちは、ありのままのU助を推していく。それでもよければついてきてほしい」とファンに告知してくれる。U助は、そのままグループに残り、莉子もまたU助推しで新しいスタートを切った。
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