たぁくんのクレヨン

文字数 1,348文字

え?おじさん、ぼくのクレヨンをみたいの?
もちろんいいよ!
ほら、これがぼくのクレヨン。ぜんぶでにじゅうよんしょくもあるんだよ、すごいでしょ!
たんじょうびにおかあさんがかってくれたの
「たぁくん、このクレヨンはまほうのクレヨンだから、だいじにつかってね」って。
このクレヨンでいやなひとをかくとそのひとがきえちゃうの。だからまほうなの。
すごいでしょ!?
ええとね、さいしょはミャーをかいたの。ミャーはうちでかってるネコだよ。
でもこのあいだぼくのことをひっかいたから、みどりのクレヨンでミャーをかいて、それから
あかいクレヨンでバッテンしたの。そしたらつぎのひ、ミャーが、にわのきにつるされてたの。
おとうさんもおねえちゃんもないてたけど、ミャーはわるいこだからしょうがなかったんだ。ちょっとかわいそうだったけどね。
そのつぎは、ミサちゃんとタカシちゃんを、あおのクレヨンでかいたの。
だって、ミサちゃんはぼくのことをスキだっていってたのにタカシちゃんとチューしてたから。
おいしいものもたくさんあげたのに、キラキラのものもあげたのに。
きらいきらいってあおのクレヨンでミサちゃんとタカシちゃんをかいたら、つぎのひ、みさちゃんとタカシちゃんが、おいけにぷかぷかうかんでたの。
「すごいや!やっぱりまほうのクレヨンなんだ!」
たぁくんうれしくなって、がようしがなくなるまで、きらいなひとをたくさんかいたの。
おとうさんはぼくのことを「なまけもの」ってどなるからきいろのクレヨンでかいて、おねえちゃんはぼくをクサイっていうからちゃいろのクレヨンで・・・
そしたら、みんなみんなつぎのひにはいなくなって、たぁくんはおかあさんとふたりっきりになっちゃった。
みんなみんなきらいだったけど、たぁくん、やっぱりさみしくなってわぁわぁないたの。
でもおかあさんは”だいじょうぶ、たぁくんにはおかあさんがずっといっしょだからね”ってわらうから、たぁくんも「わかった!たぁくんもうなかない!」っておへんじしたの。
それで、せんめんじょで、よごれたおててをセッケンでゴシゴシあらったんだけど、あかのくれよんだけはぜんぜんとれないの。なんでかなあ。
おかあさんとやくそくしたけど、やっぱりたぁくんさみしいのはいやだから、つぎでさいごにしようとおもったの。
それで、あたまのなかで、いっちばんいやなやつをそうぞうして、あかのクレヨンでめっちゃくちゃにそいつをかいたの。
そしたら、やっぱりつぎのひ、そいつはぜんしんまっかになってきえちゃった。たぁくんがかいたみたいに、ぐちゃぐちゃ。
                  *
うん!すごくすっきりしたよ!だってあいつ、たぁくんに「おまえはあしたからかいしゃこなくていいよ」なんていうんだもん。
あんなにいっぱいがんばったのに、よるもねないで、ごはんもたべない、でたぁくんがんばったのに!
「でも、もうきえちゃったからこわくないんだよ」っておかあさんにいったら、しかくいわくのなかでやっぱりわらってたの。
たぁくんいっぱいおはなししてつかれちゃった。
ねぇおじさん、なんでたぁくんのてにかたいわっかをはめるの?
なんでたぁくんのうではこんなにけむくじゃらなの?



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