1-6 ゴールへ

文字数 627文字

 数分休憩した私たちはまた少しずつ歩き始めていた。平坦な道が終わり、下り坂に差し掛かったところで
「あっ。あそこの一番下!」
「えっ?」
 私は悠真くんが指さしたところを見つめる。するとそこには、小さな建物のようなものが見える。
「あれがゴールのホテルってところでしょうか?」
 悠真くんに言われ、私は思う。
「どうだろう……?」
 私から見ると、ホテルにしては小さいように見えた。ちょっと古びた一軒家って感じに見える。ただ、周りは木が結構生えているため、それが邪魔して見えないだけなのかもしれない。
「まあ、とりあえずあそこを目指して進みましょう」
 悠真くんに言われて私はうなずく。
 転ばないように、少しずつ進んでいく。最後の下り坂も終わり、その家の前の平坦な道になる。残りは100メートル前後といったところか。
 1歩1歩、慎重に進んでいき、家の前まで来た。
「やっぱり、ホテルにしては小さすぎるし、何よりボロボロすぎない?」
 その家は、最初に見た時の予想通り小さかった。それ以上に建物がすごくボロボロ。本当にここがゴールなのだろうか?
「とりあえず、入ってみませんか? ちょっと危険かもしれませんけど、ゴールはホテルの中ですし、ここ以外建物らしきものは見えなかったので…… 何かあったら、僕が玲奈さんを守りますから!」
「えっ?」
 悠真くんがそう言ってくれて、なぜかドキドキしちゃった。
「そ、そうですね、とりあえず入ってみましょう!」
 そしてホテルの扉を開け、中に入った。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

大城玲奈(おおしろれな)。ごく普通の中学1年生。実は同じクラスの悠真のことが気になっているが、中々勇気が出せず話しかけられずにいる。

大塚悠真(おおつかゆうま)。何かを表現することが苦手で、大勢の人の前はもちろん、1対1で話すときにも緊張して上手く話せないことも。かなりのマイペース。

浅田優月(あさだゆづき)。1学期の成績は中間テストも期末テストもTOP3に入るほどの優等生だが、時々天然な一面を見せることも。仏頂面だが、家ではそうでもないらしい。

山田悠希(やまだゆうき)。勉強も運動もこなせる文武両道のイケメン男子。女子人気が高く、彼の周りにはいつでも女子がいる。

佐山心寧(さやまここね)。学年一のギャル少女。ファッションにこだわりがあり、将来自分のファッションブランドを立ち上げたいと思っている。成績はイマイチ。

松田宏斗(まつだひろと)。運動がとても得意で、小学生の頃は毎年運動会のリレーの選手に選ばれていた。勉強は大の苦手。

青木俊之介(あおきしゅんのすけ)。宏斗のクラブ仲間。同じく運動は得意だが勉強はイマイチ。だけど最近勉強を本気でやっている。

小林美穂(こばやしみほ)。今年度転校してきた、不思議な女の子。基本ぼーっとしていて何を考えているかわからないタイミングが多い。

上山莉子(かみやまりこ)。よくあるツンデレ女子。心寧とは幼馴染で、瑠人のことが気になっている。意外と勉強が得意。

清水瑠人(しみずりゅうと)。勉強が得意で体育もそこそこできる男子。見た目の可愛さから、女子と間違われることもあることが悩み。

??? 二人三脚のゲームマスター。彼に対する情報は少なく、ただの「若い男性」になっている。参加者たちの事情は大体把握している。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み