楔子
文字数 485文字
藍色の衣を身に纏った皇帝司淵(Si Yuan)はゆったりと椅子にもたれて、その額を手で支えた。
彼はかすかに瞳を持ち上げ、桃花のように美しい一対の目で左右に距離をとって立つ二人を見つめる。
その二人の瞳には、ふつふつと湧き上がる怒りがあった。
左側に立つ男は、見たところとても優しそうな美男子で、白い衣を着、腰には銀色の鈴をぶら下げていて、頭に銀白色の髪帯を巻いている。
仙力に満ちた彼の顔には、傲慢が浮かんで見えた。
彼が手に持った扇子を軽く扇ごうとした時ーー広がった扇の面に、“陸酒”というニ字が露わになる。
そして、右側に立っている男。
これもまた美しい男だが表情がなく、装飾といえば腰に下げた半分に割れている翡翠の首飾りのみで、束ねられた漆黒の髪が肩に垂れる様はまるで滝のようであった。
ものものしい雰囲気を纏い、整然とそこに立っている。
左は陸酒(Lu Jiu)、右は沈宴(Shen Yan)といい、どちらも司淵皇帝の臣下にある神だ。
ーー二人の仲は、非常に悪い。
「この二人は、本当に……面倒だな」
皇帝司淵は、ついに自分だけに聞こえる声で溜息をついた。
つづく
彼はかすかに瞳を持ち上げ、桃花のように美しい一対の目で左右に距離をとって立つ二人を見つめる。
その二人の瞳には、ふつふつと湧き上がる怒りがあった。
左側に立つ男は、見たところとても優しそうな美男子で、白い衣を着、腰には銀色の鈴をぶら下げていて、頭に銀白色の髪帯を巻いている。
仙力に満ちた彼の顔には、傲慢が浮かんで見えた。
彼が手に持った扇子を軽く扇ごうとした時ーー広がった扇の面に、“陸酒”というニ字が露わになる。
そして、右側に立っている男。
これもまた美しい男だが表情がなく、装飾といえば腰に下げた半分に割れている翡翠の首飾りのみで、束ねられた漆黒の髪が肩に垂れる様はまるで滝のようであった。
ものものしい雰囲気を纏い、整然とそこに立っている。
左は陸酒(Lu Jiu)、右は沈宴(Shen Yan)といい、どちらも司淵皇帝の臣下にある神だ。
ーー二人の仲は、非常に悪い。
「この二人は、本当に……面倒だな」
皇帝司淵は、ついに自分だけに聞こえる声で溜息をついた。
つづく