漫才「カイダン」
文字数 1,912文字
チャーチャララーチャララ〜(OP風)
「どうもー」
「こんちはーす」
漫才師の金鍵 と銀錠 。
結成歴はたぶん3年くらいの芸を一つ披露します。
銀錠「いやー最近暑いですよね」
金鍵「うん暑いよなぁ」
銀錠「だから今日はカイダン話をしようかなと思いまして」
金鍵「おーいいねぇ。ネタがあるのか?」
銀錠はこほんと一つ咳払いをして、静かに話始めました。
銀錠「これは僕の大学時代の友人の話でして」
金鍵「ふんふん」
銀錠「名前はマイケル・ジェイソンと言うんですけど」
金鍵「うん、名前が気になる感じだけどそれで?」
銀錠「マイケルはある夏に、サークルの仲間と山でキャンプをしていたそうです」
金鍵「定番だなぁ」
銀錠「マイケルは買い物を頼まれて一人下山したんですよ」
金鍵「ふんふん」
銀錠「それから帰らぬ人となりました」
金鍵「え、急に何があったの!?」
銀錠「僕も『何があったの?』ってマイケルに聞いたら」
金鍵「おーマイケル生きてたか!」
銀錠「一人で家に帰り、戻らなかったそうです」
金鍵「帰らぬ人ってそっち!?」
銀錠「サークルのメンバーがたくさん電話をかけてきたけど全部無視して、クーラーのきいた部屋で涼んでいたそうです」
金鍵「ただの最低なやつだな!」
銀錠「聞くだけでも涼しい気がしますよね」
金鍵「涼しくねーよ!」
銀錠「清々しい気分になりませんか?」
金鍵「マイケルの行動は清々しいけどな!?」
銀錠「キャンプから帰ったサークルメンバーには『神隠しにあった』と言ったそうです」
金鍵「神隠しを言い訳に使うなよ!」
銀錠「それから誰もその話題には触れなくなりまして」
金鍵「当たり前だろ」
銀錠「仲間が消えて一人ぼっちになってしまったマイケルは」
金鍵「うんやっぱりな!」
銀錠「あの夏キャンプに行ったことを今でも後悔しているそうです」
金鍵「まず勝手に帰ったことを反省しろよ!」
銀錠「でもこれはもしかしたら、人間の身勝手さが生み出した結末なのかもしれません」
金鍵「いや本当にな!?」
金鍵「てかそれ全然カイダンじゃないだろ! 適当な作り話で誤魔化そうとしてないか!?」
銀錠「マイケルから聞いたのは本当ですよ、実名はまずいので仮名ですけど」
金鍵「ああそう、ならその危うい名前はもうツッコまないでおくけどな!」
銀錠「友達がディスってたアーティストの名前っぽくしてみました」
金鍵「お前も友達失うぞ!?」
銀錠「でもジェイソンだから怖くなるかなと」
金鍵「お前もだいぶディスってるよな!」
銀錠「なら何を話せと?」
金鍵「カイダンってもっとこう、オカルトな話だろ? 変なものを見たとか、急に人が消えたとか」
銀錠「マイケルのサークルメンバーからすればそうですね」
金鍵「だったらせめてサークルの人たちの目線で話をしろよ! なんでマイケルの目線にしたんだよ!」
銀錠「世の中の不思議な現象はだいたい主観的な目線で語られるもので、真実が見えていないだけなんです……」
金鍵「悟るな! マイケルの真実はいいから、ちゃんとしたカイダンを話せ!」
銀錠「はぁ……じゃあ、とっておきのカイダンを話しますよ。僕には怖すぎたのであえて避けていたんですけど」
金鍵「おーネタがあるならもったいぶるな」
銀錠「本当に後悔しませんね?」
金鍵「おう」
銀錠「……これも僕の友達の話です」
金鍵「……」
銀錠「名前はフレディ・マッキュベリーって言うんですけど」
金鍵「お前俺の話聞いてた?」
銀錠「ある時飲み会しようって、フレディの家に友達四人が集まったんですよ」
金鍵「ほう」
銀錠「で、飲んだくれてみんなぐだぐだになりながらしゃべるじゃないですか」
金鍵「宅飲みはそれが楽しいんだよな」
銀錠「深夜二時くらいまではしゃいだら、みんな疲れて寝ちゃいましてね。僕は一時間くらいしたら尿意で目が覚めちゃって」
金鍵「あ、お前そこにいたの?」
銀錠「ええそれでトイレに行こうとしたんですけど、フレディがトイレの近くで寝ていたんで、起こさないようにそうっと通ったんです」
金鍵「ほう」
銀錠「そしたらフレディ、いきなりばっと僕の足を掴んで」
金鍵「おお」
銀錠「わーーーーーーーーー!!」
金鍵「うおっ!?」
銀錠「と僕は叫びました」
金鍵「おおお」
銀錠「それだけです」
金鍵「オチは!?」
銀錠「ね、怖いでしょう?」
金鍵「うんびびったけどそれ怖かったのお前だけだと思うぞ!? やっぱり何も考えてなかっただろ!」
銀錠「いっそ清々しいと思いませんか?」
金鍵「快い方の快談 のつもりか」
銀錠「ああうまい! そういうことにしておきましょう!」
金鍵「いっそ清々しいな」
銀錠「でしょう?」
金鍵「褒めてないからな!?」
どうもありがとうございましたー!
「どうもー」
「こんちはーす」
漫才師の
結成歴はたぶん3年くらいの芸を一つ披露します。
銀錠「いやー最近暑いですよね」
金鍵「うん暑いよなぁ」
銀錠「だから今日はカイダン話をしようかなと思いまして」
金鍵「おーいいねぇ。ネタがあるのか?」
銀錠はこほんと一つ咳払いをして、静かに話始めました。
銀錠「これは僕の大学時代の友人の話でして」
金鍵「ふんふん」
銀錠「名前はマイケル・ジェイソンと言うんですけど」
金鍵「うん、名前が気になる感じだけどそれで?」
銀錠「マイケルはある夏に、サークルの仲間と山でキャンプをしていたそうです」
金鍵「定番だなぁ」
銀錠「マイケルは買い物を頼まれて一人下山したんですよ」
金鍵「ふんふん」
銀錠「それから帰らぬ人となりました」
金鍵「え、急に何があったの!?」
銀錠「僕も『何があったの?』ってマイケルに聞いたら」
金鍵「おーマイケル生きてたか!」
銀錠「一人で家に帰り、戻らなかったそうです」
金鍵「帰らぬ人ってそっち!?」
銀錠「サークルのメンバーがたくさん電話をかけてきたけど全部無視して、クーラーのきいた部屋で涼んでいたそうです」
金鍵「ただの最低なやつだな!」
銀錠「聞くだけでも涼しい気がしますよね」
金鍵「涼しくねーよ!」
銀錠「清々しい気分になりませんか?」
金鍵「マイケルの行動は清々しいけどな!?」
銀錠「キャンプから帰ったサークルメンバーには『神隠しにあった』と言ったそうです」
金鍵「神隠しを言い訳に使うなよ!」
銀錠「それから誰もその話題には触れなくなりまして」
金鍵「当たり前だろ」
銀錠「仲間が消えて一人ぼっちになってしまったマイケルは」
金鍵「うんやっぱりな!」
銀錠「あの夏キャンプに行ったことを今でも後悔しているそうです」
金鍵「まず勝手に帰ったことを反省しろよ!」
銀錠「でもこれはもしかしたら、人間の身勝手さが生み出した結末なのかもしれません」
金鍵「いや本当にな!?」
金鍵「てかそれ全然カイダンじゃないだろ! 適当な作り話で誤魔化そうとしてないか!?」
銀錠「マイケルから聞いたのは本当ですよ、実名はまずいので仮名ですけど」
金鍵「ああそう、ならその危うい名前はもうツッコまないでおくけどな!」
銀錠「友達がディスってたアーティストの名前っぽくしてみました」
金鍵「お前も友達失うぞ!?」
銀錠「でもジェイソンだから怖くなるかなと」
金鍵「お前もだいぶディスってるよな!」
銀錠「なら何を話せと?」
金鍵「カイダンってもっとこう、オカルトな話だろ? 変なものを見たとか、急に人が消えたとか」
銀錠「マイケルのサークルメンバーからすればそうですね」
金鍵「だったらせめてサークルの人たちの目線で話をしろよ! なんでマイケルの目線にしたんだよ!」
銀錠「世の中の不思議な現象はだいたい主観的な目線で語られるもので、真実が見えていないだけなんです……」
金鍵「悟るな! マイケルの真実はいいから、ちゃんとしたカイダンを話せ!」
銀錠「はぁ……じゃあ、とっておきのカイダンを話しますよ。僕には怖すぎたのであえて避けていたんですけど」
金鍵「おーネタがあるならもったいぶるな」
銀錠「本当に後悔しませんね?」
金鍵「おう」
銀錠「……これも僕の友達の話です」
金鍵「……」
銀錠「名前はフレディ・マッキュベリーって言うんですけど」
金鍵「お前俺の話聞いてた?」
銀錠「ある時飲み会しようって、フレディの家に友達四人が集まったんですよ」
金鍵「ほう」
銀錠「で、飲んだくれてみんなぐだぐだになりながらしゃべるじゃないですか」
金鍵「宅飲みはそれが楽しいんだよな」
銀錠「深夜二時くらいまではしゃいだら、みんな疲れて寝ちゃいましてね。僕は一時間くらいしたら尿意で目が覚めちゃって」
金鍵「あ、お前そこにいたの?」
銀錠「ええそれでトイレに行こうとしたんですけど、フレディがトイレの近くで寝ていたんで、起こさないようにそうっと通ったんです」
金鍵「ほう」
銀錠「そしたらフレディ、いきなりばっと僕の足を掴んで」
金鍵「おお」
銀錠「わーーーーーーーーー!!」
金鍵「うおっ!?」
銀錠「と僕は叫びました」
金鍵「おおお」
銀錠「それだけです」
金鍵「オチは!?」
銀錠「ね、怖いでしょう?」
金鍵「うんびびったけどそれ怖かったのお前だけだと思うぞ!? やっぱり何も考えてなかっただろ!」
銀錠「いっそ清々しいと思いませんか?」
金鍵「快い方の
銀錠「ああうまい! そういうことにしておきましょう!」
金鍵「いっそ清々しいな」
銀錠「でしょう?」
金鍵「褒めてないからな!?」
どうもありがとうございましたー!