第1話

文字数 2,466文字

世間はゴールデンウィーク真っ只中。
今年は、昨年以上に外出がしづらい。もちろん要因は、コロナ禍の自粛である。

普段なら年に2回ほど帰る地元にも、1年ほど帰省できていない。
そのせいか、今は特に家族や地元、地元の友達が恋しい。

今この記事を読んでくださっている皆さんの中にも、故郷に残してきたもの・人に、思いを馳せる方もいるのではないだろうか。
普段はあまり考えることもなかった、故郷の魅力などについて考えてみようと思う。
そして、同じく帰省できず悶々としている方へ、何か伝われば嬉しい。


わたしは、四国・愛媛県出身である。18歳のとき、大学進学のために高知市へ移住。
社会人になるときに愛知県へ。今は、名古屋市内に移り住んでもう3年近く経つ。
地元を離れて10年以上。ずっと一人暮らしだ。

わたしの中で故郷と呼べる街は、愛媛と高知である。
四国は、近県以外の方だとなかなか来づらい場所だと思う。移動時間もかかるし。
それでも、せっかくならばこの自粛期間に、四国の良さを知ってもらいたい!
四国は、魅力の宝庫なのだ。


わたしの故郷は、愛媛県の東部。伊予の東部ということで、東予(とうよ)と呼ばれる地域である。
松山市など中央部は中予(ちゅうよ)、南部は南予(なんよ)と呼ばれる。

おもしろいことに、愛媛県内でも方言に違いは出る。
わたしの肌感覚として、南予出身の方はおっとりした喋り方をする。

わたしの生まれ育った東予は早口で、まくし立てるような喋り方の人が多い。
喧嘩をしているみたい、と言われたこともある。お世辞にもきれいな方言とは言えない。
それがもしかしたら、愛媛の有名なお祭り文化に繋がっているのかもしれない……!


愛媛には様々な魅力がある。
10月には各地で、五穀豊穣を願ったお祭りがある。それぞれ特色があって、非常におもしろい。太鼓台やお神輿、だんじりなど、本当に各地で様々である。
完全に密でしかないので、当分は開催が厳しいだろうが……

有名どころだと、まずはみかんの産地である。蛇口を捻ればみかんジュースが出る水道は、松山空港に常設。もはや観光スポットだ。
今治(いまばり)のタオルについては、わたしは日本一だと思っている。自転車でも今治から広島へ向かえるしまなみ海道は、景色がとても良いと評判である。
西条(さいじょう)にある、西日本で1番高い山・石鎚山(いしづちさん)。石鎚山からの流れで、西条のうちぬき水は日本名水百選にも選ばれた実力である。
新居浜(にいはま)にある、過去に銅山として栄えた跡地・東平(とうなる)は「東洋のマチュピチュ」とも呼ばれる。
他にも香川との県境にある四国中央市は、紙の名産地で有名だ。
県庁所在地の松山には道後温泉、坊っちゃん列車、松山城などがある。

今、思いついたものを並べてみただけだが、わたしの身近な東予ばかり挙げてしまった。
もちろん、中予にも南予にも、観光スポットは数多くある。興味があればぜひ調べてほしい。
ちなみに、南予の鯛めしは絶品である。きっと頬っぺたが落ちるはず!


愛媛の話はこの辺りまでにして、大学進学のときに高知を選んだ話をしよう。

高知を選んだのは、当時放映されていた大河ドラマ・福山雅治氏主演「龍馬伝」の影響だった。
高知は愛媛の南部にあるものの、なかなか行くことがなかった。
当時、龍馬伝を見て土佐藩のこと、そして土佐弁のおもしろさを知った。

高知は愛媛から見れば山を隔てた反対側、というだけなのに、言葉が全然違っていた。
愛媛の方言だと、「何しているの?」は「何しよん?」というような言葉になるのだが、土佐弁では「何しゆうが?」になる。おもしろい。
ちなみに「~だから」は「~じゃけん」になるわたしの地元。高知では「~やき」になる。なんてかわいいのか。

最初は方言の勉強がしたいと思い、その大学を選んだ。
専攻はコロコロ変わってしまい、結局は知り合いの影響で法律を選ぶことになった。
しかし、母校はカリキュラムがかなり自由だったため、専攻外でも方言や日本語といった内容を勉強できたのは、収穫だった。


「失ってから、そのものの大切さに気づく」と言う。
今は名古屋市に住んでいる。四国に比べると、随分と便利な街に出てきてしまった。

その分、たまに地元が恋しくなる。しかし、まだ帰れない。
このもどかしさの解消方法を、いくつか考えた。

故郷の食べ物については、まずは親に頼む。特にわたしはじゃこ天が大好きで、八幡浜(やわたはま)産のものが1番だと思っている。何度も送ってもらった。
簡単なところでは、オンラインショッピングを使う。高知の好きなお酒は取り寄せた。ちなみに、美丈夫(びじょうふ)の柑橘系のリキュールがとにかく大好きである。
最近では、ふるさと納税も覚えた。先日、高知のカツオが届いてウキウキだ。タレではなく塩で食べるのがあっさりしていて、最高においしいのだ。

旅程を立てる。行きたいところをピックアップする。宿を探す。
お金を貯める。痩せる。次の旅行までの準備をすることで、モチベーションを保つ。

先日気づいたのは、Googleマップの楽しさだ。
ストリートビューという機能で、地元を探す。実家や母校も見つけられ、懐かしい田舎道を辿って感動した。
撮影されていたのは10年近く前のものだったのだが、逆に自分の中の記憶が鮮明なのはその頃なので、懐かしい……! と感じることができた。撮影してくださった方に感謝である。

また地元の市役所広報からの、「オンライン帰省」という企画が楽しい。
昨年夏にも実施された覚えがあるのだが、懐かしい地元の風景を写真で見返せる。
今回は春ということで、地元の桜の名所や、各中学校の写真も載せられていた。特に中学校の写真は通っていた15年ほど前を思い出し、青春時代を彷彿とさせる。


四国は食べ物もお酒も美味しい。物価も安い。
自然も多く、観光には最適。見どころは本当にいっぱいある。
行ったことない方は、いつかぜひ行ってほしい。
気に入ってもらえる自信がある。

そして自分を育てた地元。
情勢が落ち着いたら、思いっきり四国を堪能しに行くのだ。

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