第１話

　どうしてこうなったのか。
　死に行く猿は、何度も何度も反芻する。
　柿を独り占めしようとして、蟹へ暴行をくわえたときは思いよらなかった。まさか母の敵討ちのために、子蟹が仲間を連れて自分を暗殺しにくるとは。
　因果応報。
　やはり、悪いことをすればいつか必ず報いを受ける。
　今回はそれを思い知らされた。ああ、思い返せばずっと悪事ばかり働いてきた。もし、やり直せるなら……今度は心を入れ替えて皆の役に立つことが出来ればよいのに。

「反省したようですね。生まれ変わっても、その気持ちを忘れてはいけませんよ」

　どこからか声が聞こえる。
　猿蟹合戦に敗れた猿は、その一生を終えた。
　そして、また猿として転生。ある人物と運命的に出会うこととなる。

「桃太郎さん、お腰につけたきびだんご一つ私にくださいな」