ホップ・ステップ
文字数 2,000文字
私は手芸部に所属している朝野紬。
部室に招待した同級生へ、私が作った衣装を見せていた。
これ、ぜんぶ朝野さんが作ったの?
ロリータ系は私が作りましたが、他は先輩たちが残した作品です
それが……
年々入部希望者が減り、今年は私しかいないんです
よく廃部になってないね
いえ、廃部になるんです
このままでは
そう告げると、同級生はすぐに口をつぐんだ。
そして同情した様子で、私を見ている。
……残念だね
こんなに上手なのに
文化祭で!
部室いっぱいに椅子を用意して!
世の中、手先が器用な子ばかりじゃないし
でも手先が器用じゃなくても良かったら、どうですか?
私は高い敷居を、服を着るのが好きな人に入部してもらうことで
低くすることにしたのです!
その辺りは考えてません
その為ならば自分本位であろうと頑張ります
モデルをやってもらえませんか!?
こんなに可哀想な感じなのに!
よく考えてみて
朝野さんが作ってるのって、女の子向けばかりだよね?
他にもいたでしょ、可愛い女の子
少しまごつきながら、私は同級生に対する気持ちを話した。
あの時からずっと、貴方の姿が忘れられないのです
いったい、いつ!?
そこで貴方の姿を見かけました
思わず待ち受けにしちゃいました!
画面にはウィッグを付けて化粧を施した、同級生の女装姿が収められている。
確認する為に思わず
私以外に気づいた様子はなかったです…………たぶん
それに……脅すつもりなら、乗らないから!
この写真は、本当にただ確認の為に撮っただけですし
さっき部の存続の為なら何でもする的なこと言ってたクセに
学校では、つまらなそうな顔しか見たことなかったし
それに、そういった喜びの感情などが、いっそう服を引き立てるんですよ
そういった人に、モデルを任せたいと考えていたのです
それなら尚更、女の子で良かったでしょ?
可愛い服で楽しそうに出歩く貴方が!
貴方も、本当は堂々としていたいんじゃないですか?
私は、もう一押しと思い、同級生へ語り掛けた。
仮にバレても私にさせたと言ってください
ただ貴方は、堂々としていれば良いですから!