森の友

文字数 1,351文字

[起]
 森の妖精達は大きな悩みを抱えていた。自分達の住む森が、人間達によって破壊され続けているからだ。
 そんなある日の事、森の妖精シンリンが川で溺れている幼稚園児の森野摩萌莉(もりのまもり)を救出。二人はすぐに意気投合して友達に。
 シンリンは摩萌莉に森の素晴らしさを教えてあげた。木の実にキノコ、野草を始めとした森の恵みを。そして美味しい湧水。でも、それらが全て失われる事も伝えた。
 森を破壊する連中を、同じ人間として許せない摩萌莉は、シンリンと共に森を守る決意を固める。

[承]
 森を破壊しているのは太陽光発電のソーラーパネルを建てるため。それが自然に良いからと、業者達は笑いながら森を破壊。
 ソーラーパネルには有毒なカドミウム、鉛、砒素、ポリシリコンなどが含まれており、森を破壊して建てるものではないと、シンリンと摩萌莉が必死で訴えるが、聞き入れて貰えない。何故ならこの工事には大物政治家の大泉ジョン一郎が関与しているから。
 C国から賄賂を貰い、日本に沢山のソーラーパネルを輸入している大泉ジョン一郎。一市民の摩萌莉とシンリンがどう足掻いても、敵う相手ではない。
 諦めかけたその時、季節外れの大嵐が。この嵐でソーラーパネルを破壊して、工事が無駄なんだと、分からせようと画策する二人。
 だが、そんな二人の視界には、増水して溢れる川で溺れている大泉ジョン一郎。
 かつて摩萌莉を助けたように、大泉も助けるシンリン。泣いて喜ぶ大泉は工事を止める約束を二人とかわす。
 喜ぶシンリンと摩萌莉。しかし、翌日の大泉はこんな発言をした。
「私がこの森をぶっ壊します!私は変える人、変人ですから!」
 約束を平気で反故にする大物政治家に、人間である事を恥じる摩萌莉はシンリンにお願いして森の妖精へと転身。名はマモリと改めた。

[転]
 人間の知恵と知識を持ったマモリを中心に、森の妖精達は人間達の建造物を次々と破壊。
 暴走する大自然。森が次々と都市を飲み込むが、それだけでは終わらない。大地が大きく揺れ、大津波まで巻き起こす。
 わずか一週間で日本から人間がいなくなった。そんな暴走した大地の上で、マモリは一人たたずむ。荒れ果てた世界を見つめながら。
 シンリンがマモリの元にやって来た。後悔してるかと聞くと、マモリは後悔はしていないと。
 だが、シンリンはマモリに人間であるべきだと諭す。人間の頃の摩萌莉ならば、そうは言わないだろうからと。

[結]
 ふと、気がつくと摩萌莉は河辺に居た。かつて溺れて死にかけた時の姿のままに。
 どこからともなく聞こえてくる。このままいけば、今見た未来のように世界は終わる、と。
 人間である摩萌莉は未来を変える決意を固める。だが、今の自分では力不足。やれる事など大した事は無い。
 そこで摩萌莉は大泉の暗殺を企てる。被害が最も少なく、簡単に実行に移せるからだ。
 森の知識で得た毒キノコを大泉に振る舞われたシチューに投入。大泉は悶絶して死亡。この一人の大物政治家の死によって、ソーラーパネルの工事は凍結。シンリン達の森は守られることとなった。
 それでも摩萌莉は他の森を守る為に、新たなる決意を固める。国を切り売りする売国奴である総理大臣を暗殺すれば、少しはマシな国になるかと、自作の銃を作り始めるのであった。
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