プロット

文字数 1,265文字

起)三浦璃子は、小学五年生で転校することになる。彼女は恥ずかしがり屋でひどい人見知りだが、転入直後にある自然教室で必ず友達を作るという決意に燃えていた。しかし同じ班になったのは、ぶっきらぼうで先生にだけニコニコしている源朝陽、大ざっぱでじっとしていられない村上凛、可愛い自分にしか興味がない松浦百花と癖の強い生徒ばかりだった。



承)自然教室で宿泊する施設は、海と山に囲まれており、源平合戦にまつわる河童伝説(平氏の女性が海御前という海の河童やその手下に化身した)が残る地域にある。また、山頂のほこらにお供えものをするという風習も残っている。その施設へ向かう途中、落ちていた人型の紙(形代)を拾ってから、璃子は変な気配を感じるようになった。それからというもの、施設で不可解な事件が起こったり璃子以外の班員が犯人不明のイタズラにあうなどおかしなことが続く。班の中で一人だけ無事な璃子は、自分が犯人だと思われていないか気になって友達作りどころではなかった。おまけに、自然教室のウォークラリーの最中、璃子の班は森の中で迷子になってしまう。



転)そんな中、道端で出会った不気味な老人が「ヤマガミ様にお供えものをして来てくれ」「人の想いがこもっているものならなんでもいい」と言う。目的地である海はそのヤマガミ様がいる山の先だと聞いて、璃子たちは老人の頼みを聞くことにした。しかしその老人は山に住む妖怪で、ヤマガミ様――空腹になると山を食べ人里も襲う妖怪「山噛み」へのお供えものとして、大事に育てられて来た璃子たち自身を食べさせようとしていた。山噛みの不思議な力で山中に閉じ込められた璃子たちのところに、変な気配を感じていた正体、山童(山に移り住んだ河童の妖怪)が現れる。施設での不可解な事件やイタズラは、山童の仕業だった。山童は、璃子が拾った形代が山噛みへのお供えものだったこと、お供えものにするために大事にされすぎて形代に魂が宿り、逃げ出してしまったことを教える。そのせいで山噛みは空腹になり、今にも山ごと璃子たちを食べてしまいそうだった。



結)山へ移り住んだ手下の河童(山童)を助けに来ていた海御前は、敵だった源氏の子孫(朝陽、凛、百花)をよく思っておらず、山噛みに食べさせようとする。三人の絶体絶命の事態に、黙ってばかりだった璃子が声を上げ海御前にたてついた。ここに迷い込んだのは誰のせいかとケンカすらしていた三人は、璃子の勇気ある行動を見て、自分たちも協力して解決しなくてはと思い立つ。試行錯誤の中、朝陽は仲間を頼ること、凛は仲間と息を合わせることの大切さに気付く。そして百花は見た目だけではない生き方の美しさを知り、自分が大切に使っていたリボンのヘアゴムを山噛みに差し出す。それで大丈夫なのかという一抹の不安はあったが、山噛みはお供えものとして認識して大人しくなった。海御前と共に海へ出た四人は無事にウォークラリーを終え、自然教室から帰る頃には今までより仲良くなれていた。いつの間にか璃子に、新しい学校でのはじめての友達が出来ていたのだ。
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