第1話
文字数 2,222文字
少女は、ことあるごとにこう言いました。
「もうすぐ大地震があるよ」
周りの人々は気味悪がりました。
でも、ある大人がこう言いました。
「関西には大きな地震はないんや。あるとしたら関東とかやろ」
その意見に周りは同調し、納得しました。
しかし、一月十七日の早朝に関西を大地震が襲いました。
いわゆる阪神・淡路大震災です。
多くはそんな大地震はこないと思っていたので、大きな被害を受けました。
一部の人は少女の言葉を思いだし、慄然としました。
でも、そんなことはすぐ忘れました。
とにかく復興することが大事だったからです。
そして見事に復興をはたしたのです。
ある少女がこう言いました。
「東京の地下鉄で毒ガスがまかれて、多くの人が死んじゃうよ」
ある大人が怒ってこう言いました。
「そんなことは間違っても言っちゃいけません。みんな気分が悪くなるでしょ。それに日本ほど平和で安全な国は他にないの。そんなことは間違ってもおきないの。わかった? そんなことは言っちゃいけません」
それでも少女は小声で言い続けました。
少女の親は一度病院で診てもらおうかと考えました。
ところが地下鉄でサリンがまかれて、多くの人が亡くなりました。
周りの人たちは少女を恐れの目で見るようになりました。
少女の親は一度霊能者にでも一度診てもらおうかと考えるようになりました。
少女はこう言いました。
「アメリカでジャンボ機が乗っとられて、大きなビルに衝突してたくさんの人が死ぬよ」
大人はそれを聞いて、少女にこう言いました。
「あのね、飛行機に乗るときは金属探知機とかでちゃんとチェックされて、そんな危ない人が乗ってこれないようになっているの。そんな物騒なこと言っちゃいけません。わかった?」
少女はそれにうなずくことなく言い続けました。
ある少女がいいました。
「もうすぐ大きな地震があって、大きな津波がくるよ」
周りの人々は怖がりました。
でも、ある大人が言いました。
「そんなことは言うもんじゃないよ。それに大きな地震がきても、あのバカでかい防波堤が津波を阻止してくれるよ」
ところが三月十七日、海中で大地震があり、大きな津波が発生しました。
津波は巨大な壁を軽々と越えて、町をのみこみました。
町はあとかたを少し残して消えました。
大きな被害がありました。
一部の人は少女の言葉を思い出し、震えました。
でも、すぐそのことは忘れました。
復興することが大事だったからです。
そして見事に復興をはたしたのです。
少女はこう言いました。
「人類は天候をコントロールして、自由に雨を降らせることができて、ハリケーンや台風とかもなくなるよ」
ある大人がこう言いました。
「あのね、それがどんなに難しいことかわかる? だいたいそれをやるエネルギーをどこから持ってくるんだよ。とにかく地球温暖化をふせぐことからやらなきゃいけないんだよ」
少女はこう言いました。
「核兵器がなくなって世界平和がくるよ」
するとある大人が言いました。
「ねえ、君、それは理想だよ。夢物語だよ。地球上から戦争はなくならないし、核兵器はなくならない。お互い核兵器を持つことによってのみ、核戦争は抑止できるんだ」
少女はうなずくことなく、また同じことを言いました。
少女はこう言いました。
「差別のない世界がくるよ」
ある大人がこう言いました。
「あのね、人間なんてね、誰かの上に立っていたい、誰かを下に見たい、卑俗な生き物なんだよ。だから差別なんてなくならないよ。人間なんてね、差別する対象がなくなったら、また新たな差別の対象をつくりだすんだよ」
少女はこう言いました。
「人間は他の星に住むようになるよ」
ある大人が言いました。
「あのね、僕たちはこうやって地球に住んでるけど、空気もあるし、水もあるし、そんな星はどこにもないの。人類が住もうとおもったら、それをつくりださなきゃならない。それがどれほどたいへんなことかわかる? そう簡単なことじゃないんだよ」
それでも少女は言い続けました。
少女はこう言いました。
「宇宙人が来て、すばらしい知識と技術を教えてくれるよ」
大人が言いました。
「あのね、宇宙人なんて仮にいたとしても、かなり遠くのところにいて、出会うことなんてないの。仮に来たとしても資源を奪いに来るか、人間を食いに来るんだよ。わかった?」
少女がこう言いました。
「人間はもっと進化して、羽根がはえて空を飛べたり、水かきができてもっと速く泳げたりするようになるよ」
大人はこう言いました。
「あのね、人間はこれまでどれだけ長い間進化してきていると思うの。羽根がはえたり、みずかきができるのなら、とっくにできてるよ。それに空を飛ぶのにしても、もっと泳ぐにしてもあとから道具でそれをつければいいんだよ」
少女はこう言いました。
「人の寿命がのびて、人が死ななくなるよ」
ある大人がこう言いました。
「残念だけど人は死ぬんだよ。君も私もいつかきっと死ぬ。それに人が死ななくなったらどうなる? 地球は人で溢れかえって、エネルギーや食糧はすぐ底をつくよ。なんだったらお互い殺しあって、食べ物をえなくちゃならなくなるよ」
それでも少女は同じことを言い続けましたとさ。
「もうすぐ大地震があるよ」
周りの人々は気味悪がりました。
でも、ある大人がこう言いました。
「関西には大きな地震はないんや。あるとしたら関東とかやろ」
その意見に周りは同調し、納得しました。
しかし、一月十七日の早朝に関西を大地震が襲いました。
いわゆる阪神・淡路大震災です。
多くはそんな大地震はこないと思っていたので、大きな被害を受けました。
一部の人は少女の言葉を思いだし、慄然としました。
でも、そんなことはすぐ忘れました。
とにかく復興することが大事だったからです。
そして見事に復興をはたしたのです。
ある少女がこう言いました。
「東京の地下鉄で毒ガスがまかれて、多くの人が死んじゃうよ」
ある大人が怒ってこう言いました。
「そんなことは間違っても言っちゃいけません。みんな気分が悪くなるでしょ。それに日本ほど平和で安全な国は他にないの。そんなことは間違ってもおきないの。わかった? そんなことは言っちゃいけません」
それでも少女は小声で言い続けました。
少女の親は一度病院で診てもらおうかと考えました。
ところが地下鉄でサリンがまかれて、多くの人が亡くなりました。
周りの人たちは少女を恐れの目で見るようになりました。
少女の親は一度霊能者にでも一度診てもらおうかと考えるようになりました。
少女はこう言いました。
「アメリカでジャンボ機が乗っとられて、大きなビルに衝突してたくさんの人が死ぬよ」
大人はそれを聞いて、少女にこう言いました。
「あのね、飛行機に乗るときは金属探知機とかでちゃんとチェックされて、そんな危ない人が乗ってこれないようになっているの。そんな物騒なこと言っちゃいけません。わかった?」
少女はそれにうなずくことなく言い続けました。
ある少女がいいました。
「もうすぐ大きな地震があって、大きな津波がくるよ」
周りの人々は怖がりました。
でも、ある大人が言いました。
「そんなことは言うもんじゃないよ。それに大きな地震がきても、あのバカでかい防波堤が津波を阻止してくれるよ」
ところが三月十七日、海中で大地震があり、大きな津波が発生しました。
津波は巨大な壁を軽々と越えて、町をのみこみました。
町はあとかたを少し残して消えました。
大きな被害がありました。
一部の人は少女の言葉を思い出し、震えました。
でも、すぐそのことは忘れました。
復興することが大事だったからです。
そして見事に復興をはたしたのです。
少女はこう言いました。
「人類は天候をコントロールして、自由に雨を降らせることができて、ハリケーンや台風とかもなくなるよ」
ある大人がこう言いました。
「あのね、それがどんなに難しいことかわかる? だいたいそれをやるエネルギーをどこから持ってくるんだよ。とにかく地球温暖化をふせぐことからやらなきゃいけないんだよ」
少女はこう言いました。
「核兵器がなくなって世界平和がくるよ」
するとある大人が言いました。
「ねえ、君、それは理想だよ。夢物語だよ。地球上から戦争はなくならないし、核兵器はなくならない。お互い核兵器を持つことによってのみ、核戦争は抑止できるんだ」
少女はうなずくことなく、また同じことを言いました。
少女はこう言いました。
「差別のない世界がくるよ」
ある大人がこう言いました。
「あのね、人間なんてね、誰かの上に立っていたい、誰かを下に見たい、卑俗な生き物なんだよ。だから差別なんてなくならないよ。人間なんてね、差別する対象がなくなったら、また新たな差別の対象をつくりだすんだよ」
少女はこう言いました。
「人間は他の星に住むようになるよ」
ある大人が言いました。
「あのね、僕たちはこうやって地球に住んでるけど、空気もあるし、水もあるし、そんな星はどこにもないの。人類が住もうとおもったら、それをつくりださなきゃならない。それがどれほどたいへんなことかわかる? そう簡単なことじゃないんだよ」
それでも少女は言い続けました。
少女はこう言いました。
「宇宙人が来て、すばらしい知識と技術を教えてくれるよ」
大人が言いました。
「あのね、宇宙人なんて仮にいたとしても、かなり遠くのところにいて、出会うことなんてないの。仮に来たとしても資源を奪いに来るか、人間を食いに来るんだよ。わかった?」
少女がこう言いました。
「人間はもっと進化して、羽根がはえて空を飛べたり、水かきができてもっと速く泳げたりするようになるよ」
大人はこう言いました。
「あのね、人間はこれまでどれだけ長い間進化してきていると思うの。羽根がはえたり、みずかきができるのなら、とっくにできてるよ。それに空を飛ぶのにしても、もっと泳ぐにしてもあとから道具でそれをつければいいんだよ」
少女はこう言いました。
「人の寿命がのびて、人が死ななくなるよ」
ある大人がこう言いました。
「残念だけど人は死ぬんだよ。君も私もいつかきっと死ぬ。それに人が死ななくなったらどうなる? 地球は人で溢れかえって、エネルギーや食糧はすぐ底をつくよ。なんだったらお互い殺しあって、食べ物をえなくちゃならなくなるよ」
それでも少女は同じことを言い続けましたとさ。